夫婦ですが何か?Ⅱ





壁に寄りかかっていた体がスッと動きを見せ、私より確実に高い目線から見下ろされ心が怯む。


向けられたのは怒りに満ちた表情ではない、でもそれよりも恐怖感じる冷めた眼差し。


そして吐きだされた息の音に馬鹿正直にビクリと反応した。



「・・・・厄介なご近所付き合いを任せてごめんね」


「・・・・」


「不満に思って愚痴っても・・・・千麻ちゃんなら大丈夫だと思って任せてたんだけど・・・・・。

そんな精神崩壊しそうなくらい苦痛ならやめていいよ。

ああ、住みたい物件もネットでも何でも千麻ちゃんが好きなところ探せばいい」


「・・っ・・私は、」


「俺もっ・・・・

毎晩帰ってきて早々千麻ちゃんの癇癪聞く余裕ないから、さ」


「・・・・・・」



話は終わりだとスッとその場を歩きだす姿を呆然と見つめる。


確かに・・・確かに、疲れて帰宅した夫にこんな風に当たり散らすのは妻として褒められた行動じゃないことくらいは分かる。


でも・・・・ねぇ?


ダーリン?


おかしいじゃない?


だって・・・この近所問題。


少なくとも2部屋はあなた繋がりで問題が巻き起こっていると言っても過言じゃないのよ!?


なのに・・・・・【癇癪】だぁ!?


あっ・・・・


キレる・・・・。



そう思ったときには動きだしていた足。


先に部屋を抜けリビングにその身を動かしていた彼を追って。


煌々と明るいリビングの、彼を待っての2人分の食事が並んだテーブルに今まさにビール片手に席につこうとしてしていた姿を捉えて・・・一瞬思考が飛んだ。




「っーーーーー」


「・・・・・・・・・・・・あ、」




意識がまともになったのは自分がした行動によって派手に鳴り響いた音によって。


そしてぼやけた視界に映る酷く驚愕した彼の表情。


ぼやけてるのは・・・・。


ああ、最近・・・・涙腺が緩い・・・。


そして無残にも床に全て散ったテーブルの上にあった物達。


自分が手間をかけた食事を食器が割れるなんて事も頭になく全て彼の前で薙ぎ払って落としたんだ。



「・・・・え・・・・ええっ・・・・・」


「・・・・・・」


「ちょっ・・・・、千麻・・ちゃん?」



さすがにさっきの辛辣な態度の継続は不可能だったらしい彼が、必死に空気を和ませようとしてなのか口の端を上げようと努力はしている。


引きつったように笑えていない表情で私の次の反応を伺って覗き込んだ彼に堪え切れない感情が爆発した。


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