夫婦ですが何か?Ⅱ




「・・・・分かりました」


「あ・・え・・?・・・・・いや・・・あの・・何・・が?」


「・・・・・っ・・・」


「あの・・・千麻ちゃん?」



グッと込み上げる涙を飲み込むようにきつく目蓋を閉じてやり過ごして、般若のような形相で耐えること数秒。


カタンと音を立て『大丈夫か?』と言いたげに伸ばされた手を猫の如く払いのけて身を引いた。


軽くショックを映した彼の表情を捉えたけれど知ったことか。


むしろ・・・・・



「っ・・・・【癇癪】な妻で申し訳ありませんでした」


「い、いや・・・あのさ、」


「私も?色々必死に溜めこんで、打ち明けられるは現状あなたしかいないと思って、軽く頼りにして打ち明けておりましたところ・・・・・激しく不愉快で迷惑だったって事ですね?」


「っ・・・・ち・・ちが・・・いやいやいや、ちょっと・・・落ち着こう・ね?この流れはマズイ!だって絶対っ・・」


「っーーーー大っ嫌いだ!!

癇癪持ちな妻が鬱陶しいならこっちから出て行ってやるわよ!!ああ、近所問題も解決でフリーダムだわ!!」


「っーーー!!!ちょっとぉぉぉ!!」



廊下側により近かった私。


そのままくるりと向きを変えて躊躇う事なく走って玄関に行くと適当に靴を履いて鍵を開ける。


ようやくリビングから身を乗り出し焦って追いかけてくる彼を一瞬だけ振り返って、そのままエレベーターホールに疾走した。


どうやら彼が帰ってきた時のままそこに留まっていたらしいエレベーターはボタンを押せばすぐにその扉を開く。


迷いなく開いた隙間からするりと乗り込むと速攻で閉ボタンを連打した。


閉まりかける扉の隙間から彼が追い付くのが垣間見え、より強くボタンを連打するのに間に合わず。


なんとかその手を滑り込ませ無理矢理扉を開く彼を乗せる物かと押し返した。



「なぁーーー!!千麻っ、千麻ちゃぁん!!待って、待った、待ってくださいぃぃ!!」


「うるっさい!!離せ万年発情期男!!」


「否定しない!!もうそれでいいから落ち着こう!!って、痛っ・・痛いって千麻ちゃんっ、爪っ、爪っ・・・」


「もう話す気はない!!話したってあんたは自分の非を棚に上げて全部私がなってないって言いたいんでしょうが!?」


「ちょっ・・聞いて!!ってか・・・蹴るぅぅ!?痛いって千麻ちゃん!!」


「ええ、ええ、私もずっと痛いですよ!!モヤモヤと悩んでた心が!!なのに【癇癪】だって夫に切り捨てられた傷跡もプラスされて痛くて痛くて・・これはもう同じ痛みを与えないと気がすみそうにないんです!!」


「痛ったぁ!!」



エレベーターの扉を挟んでのまさに押し問答。


最初は腕で押し返していた物の今は手加減なく足蹴にして彼を押しだして。


私の爪が掠めたらしい彼の頬には赤い傷。


対峙する私は般若が泣きはらしたような顔で・・・・もはや・・・何の戦だ?


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