夫婦ですが何か?Ⅱ
Side 茜
「いやぁ・・・今日ほどお前が息子で困った事はないよ。茜・・・お前何してんの?」
「・・・・これは・・話すと長くなるっていうか、」
「その長ーい説明、とりあえず千麻ちゃんは聞く気なさそうだけど?」
「・・・・父さん、一生のお願い。そのガードロック外してもらえない?」
「嫌だ。お前の一生のお願いは千麻ちゃんを秘書として譲ったので使い切ってんだよ」
にっこりと、微々たる扉の隙間から微笑む父は多分今の現状を根に持っている。
それが痛い程分かっているから言い返せず、ただ壁に背中を壁に寄せて座りがっくりと頭を足の間に落として溜め息。
何でこんな事になったのか。
いや、さすがに分かってる。
俺が馬鹿したってことくらい。
でも本当に何にも疚しい事ないんだよぉぉ、千麻ちゃん!!
と、いくら叫ぼうが今の彼女は聞く耳を持たないらしい。
当然・・・か。
「お前も馬鹿だねぇ、何も同じマンションの住人に手出さなくても寄ってくる女はいくらでもいるだろ?」
「待って!ねぇ、待って!そこはさ、信じよう!?父親として可愛い息子の無実を信じてよ!!」
「可愛い息子なら俺をこんな窮地に追いやらないと思うんだよね」
「それについては本当に申し訳ないと・・・」
「バツ2・・か、」
「っ・・・不吉な事言わないで・・・、頼むから千麻ちゃんに誤解だって言って説得してここに連れてきてよ父さん・・・」
「あっ、俺下手に男女間の揉め事の間に立たないようにしてるから。それで余計な火傷被るのも嫌だしね」
まったく動く気はないと軽い調子で手を振る父。
それに再度落胆するとこれからどうしたらいいのか分からず本気で落ちた。
これってさぁ・・・、本気に・・・ちょっとマズくない?
せっかく捩れていた関係をやんわりと直し始めたのが昨夜の事で、複雑な心境だろうと俺から離れないことを絶対として示してくれた彼女。
明らかに過去とは違う成長したお互いを感じて、曲がりなりにも夫婦として関係を築けていると感じて安心したのに。
墓穴だ・・・。
何もなかったとはいえ確実に誤解され憤怒される場面だと自分でも納得して泣きたくなる。
真面目に・・・今度こそ千麻ちゃんに捨てられるかも・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・うわっ、無理、監禁する」
「おっ、何だ目覚めたか?」
「ごめん、変なところで反応しないで、」
逃げられる前に監禁でもしてしまいそうだと、まともじゃない頭で弾いた言葉に見事楽しげに反応した父に軽く引いた。