夫婦ですが何か?Ⅱ


Side 千麻



ある意味尊敬する。


ああ、やはり大物であると。


同時にどんな心臓の持ち主だろうと。


多分普通であるなら気まずく居た堪れない心境で、許されるのであればその身を隠したいくらいである筈なのに。


そんな雰囲気も皆無でむしろ程よく笑みを浮かべながらリビングの扉をくぐってきた義父に視線を向ける。


でも、さすがにその足が向いたのは孫とのひと時を楽しんでいる我が両親そろうリビング中央ではなく、キッチンでそれを眺めながらコーヒーを飲んでいた私の隣。


近づく姿に寄りかかっていた身を起こし、空だったカップにコーヒーを満たすとその姿に差し出した。


『ありがとう』と受け取って、それを一口飲んだ姿が今まで私の寄りかかっていた壁にその身を預けると視線を絡めるでもなく一言。



「間に立つ気は一切ないけど報告。『話したい』ってさ」


「別にこれは伝言でもなく、いち感情的返答を返せば『嫌です』」


「うん、それが正解の反応だと思うし。そう思ってる間は合わないでいいんじゃないかな」



私の拒絶に関わるは自分の息子の事であるのに、限りなく他人事のようににっこりと微笑み私を肯定する男。


まぁ、この人は自分の事以外は大抵こうであると理解しているからさして驚きもしないけれど。


それにしてもよくこの場に留まる物だと、チラリと確認しながら隣の位置に寄りかかって再びリビングの賑やかさに視線を移した。



「・・・・・・不逞の息子ですまんねぇ」


「いえ、社長の育て方云々の前に人間性の問題かと」


「ぶっちゃけさ、離婚しようとか考えてる?」


「しませんよ」


「・・・・」


「何ですか?その驚愕の表情は」


「いや、・・・ちょっとその即答に驚いたのと感動がね、」



問われた内容にすぐにはっきり否定を返せば、珍しくこの人の意表を突いたらしい。


そして言葉の通りに軽く歓喜に揺れるグリーンアイも捉えてから視線を外した。


どうせ碌な事を言ってこない。


そう思っての自己防衛でもあったのに。


含みのある軽い笑い声に眉根を寄せて、次の瞬間には入りこむ意地の悪い言葉。



「つまりは・・・千麻ちゃんのお怒りは『浮気者!!』って言うものではないと俺は推測した」


「どうでしょう?実際疑わしい状態で登場してましたけどね」


「まぁ、客観的に見たら・・・・・99%黒な登場だったよね」


「・・・息子さんですよね?」


「一応、DNA鑑定はしてないけど奥さんがそう言ったので信じてる。ああ、あとこのグリーンアイとか?」



言いながら何よりの証拠だろうと鋭くも綺麗なグリーンアイを指さし笑う男。


この男、なんだかんだ言っても彼が息子である事を誇りに思ってるし、なにより・・・・・・本当のところ可愛くて仕方ない、子供を溺愛する父親なのだ。


分かりにくく理解しにくい【愛情表現】である虐め方でよく分かる。


どS男。



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