夫婦ですが何か?Ⅱ
そして喜んでいいのか悲しんでいいのかそのSっ気は私も対象に含まれるから困ってしまう。
まさに現状もニコニコと私を見つめる視線には私の宣言に対しての色々な含みを感じて仕方がない。
それを素知らぬふりでコーヒーを飲み込んで流していたのに。
逃がすはずもありませんでしたね。
「いやぁ、何ていうか・・・・千麻ちゃんの怒りの中に愛情たっぷりで感動した」
「何の事でしょうか?」
「どんなに腹が立っても茜と離れるのは耐えられない?」
「・・・・そんな愛らしく健気な感情とも違う気がしますが。・・・しいて言えば、別れる原因には事実が達していないと言いましょうか」
「まぁ、・・・まだ疑惑と言えば疑惑の範囲だからね」
「疑惑の状態で『離婚』なんて浅はかでリスクの大きくなる事叫んだりしないだけです」
だから事情によってはあり得るのだと含んで言ったつもりなのに、それでも『ふぅん』と言いながらニヤリとする男に思わず舌打ち。
ああ、コレはさすがに失礼だ。
そう思いつつ更に視線さえ背けて温くなったコーヒーを飲み込むと。
「茜も千麻ちゃんと別れる気はさらさらなさそうだしね。【監禁】したいらしいよ」
「うわぁ、その発言証言で離婚に一歩近づいた気がしますね」
「実際はしっかり千麻ちゃんに縛りつけられてるくせにねぇ」
「しつけ厳しく、時々ご褒美に甘いご馳走与えて飼いならしてますから」
「うん、同志」
「なんか屈辱ですが」
「俺と千麻ちゃんは似た者同士なんだよ」
クスリと笑った男が私と己を交互に指さし類似を肯定するようにニッと笑う。
そんな姿に呆れたように視線を向けつつも、否定しきれないのも事実。
私も好きな相手は虐めたいタイプであるのは自覚がある。
彼の怯んだ表情なんかはそれこそ日常のご褒美の様な。
ああ、私も大概S。
自分の今更な人間性に軽く溜め息をつくと、全て読んでいたかのように軽く笑った義父がコーヒーを口に運びながらリビングの光景を静かに見つめた。
同じように移動させた視線の先は我が両親と愛娘の憩いの場。
その部分だけを切りだせば何と平和であるのだろうか。
でも、確かに私と彼で同じような図を同じ場所に描いていた筈なのだ。
それが・・・今はこうして自分のテリトリーであるキッチンと彼に至っては家の中に存在せず。
まぁ、私が閉めだしているのだけども。