夫婦ですが何か?Ⅱ



「社長・・・」


「この場合、オフィスでもない現状呼び方が不適切じゃない?」


「・・・・お義父さん」


「ハハッ、ナイス怨念。で?何かな?可愛い息子嫁の千麻ちゃん?」


「なんか・・・今のやり取りで真面目に聞く気が失せました」


「そうやって溜めこむから君はいつだって仏頂面なんだよ」


「失礼ですね。そしてそれはストレスのせいと言うよりあそこにいる同じ仏頂面の父からの遺伝です」



言いながらリビングの中央で相変わらずの無表情で孫や妻と存在する父を指さして示すと。


さすがに納得したように苦笑いで『ああ、』と頷く姿に満足。


それでも話題を流せるほどではなかったらしく、すぐに戻ったグリーンアイの視線が飲み込まれた言葉を引きだすように見つめてくる。


ああ、これは、聞きだすまで続けられる。


そう理解すると溜め息を一つつき状態落ち着けて、再度リビングの光景を映しながら問うてみたかった事を口にした。



「夫婦とは・・・何でしょうか?」


「・・・・これまた・・・自信を持って正解を口に出来ない質問を、」


「社長でも・・・ですか?」


「完璧な社長にはなれても、完璧な夫婦になるって言うのは難しい。目指しても・・・成し遂げられずに終わる物である気もする」


「・・・・そういう物ですか?じゃあ、目指すのも無意味では?」


「それは違う。成し遂げられないものだからって怠って諦めてはいけなくて。成し遂げられなくてもそれに向かって前進して、他の夫婦とは違う自分たちのそれを築き上げていくのがある種の目的でもあるんだよ」


「つまり・・・最初の理想の夫婦はお手本にしか過ぎなくて、それに似せて寄せて、結果自分たちの夫婦像を作り上げていくと?」


「・・・まぁ、陶芸に似ているのかもね。最初はお手本に似せて作り始めて、それを基盤に徐々に自分の形を作り始める。

最初にあった形に自分の意思を練り混ぜて、新しいものを作り上げていくんだろうね」



ああ、成程。


確かに、答えは・・・正解はあってないような物なんですね。


模範解答はいくらでもあるけれど正確な正解はない。


何て難しく手のかかる人生の難問でしょうか。


そしてきっとその答えは人生を終える時に振り返った一瞬にしか分からないものなんでしょう。

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