夫婦ですが何か?Ⅱ
珍しく真面目に返された返答は深くしっかりと頭に刻み込まれて、万能にも感じていたこの隣の存在にもこの問題はまだ未回答なのだと理解すると多少の脱力。
この人が解けていない問題にいくら私が奮闘しようが明確な形は得られる筈がない。
結局はやはり3歩進んで・・を繰り返すのが前進なのだろうと自分なりに納得させてコーヒーを含んだタイミング。
「千麻、」
不意に呼ばれた響きに顔を上げれば、呼んだのは無表情でこちらを見る父らしく。
視線が絡むと無言で手招きする姿に隣で壁に寄りかかる姿に黙して離れることを視線で告げる。
それににっこりと微笑むことで了承としたらしい義父の前をスッと通り過ぎると。
「いい機会だし、お父さんにも聞いてみたら?」
クスリと笑いながら弾かれた言葉は今程の夫婦論の事だろう。
さすがに実の父には聞きにくい事だと微妙な表情を義父に返せば可笑しそうに手を振って見送る反応。
結局はどこか息子夫婦が迷走している様を楽しんで見える義父に呆れながらリビングの中央に向かうと、私の姿がそこに到達するより早く立ち上がった姿が先に動きだして窓に向かう。
つまりはベランダで2人きりで話そうという事なのか。
そう悟ると多少の緊張感。
改まって問われる内容と言えば先ほどの問題以外あり得ないのが分かっているから。
もしかしたら彼の奇行にさすがの父も娘の親として憤りを抱いているのかもしれない。
だとしたら・・・彼に対する弁解も用意しておくべきかと頭を悩ませ外に出た。
瞬間、ふわりと爽やかな風が吹く。
天気も良く快晴の空は青く高い。
揺れる髪を抑えて一瞬その気候の良さに力が抜け、ゆっくり深呼吸すると父の隣に並んで手すりにその身を預けてみる。
「・・・・何?お父さん」
「・・・・茜君、家に入れてやらないのか?」
「ああ・・・、まぁ、程々に、」
「つまり、・・・離婚はしないんだな」
「しないって分かってての質問でしょう?」
「そうだな。・・・お前は、本当に見放すのならその瞬間からで猶予がないから」
「うん、嫌いな物と我慢して一緒にいる気はない」
「だよな、」
何だろう?
この久々な何とも言えない親子の会話は。
話す内容も表情も浮れたものでなくこの気候に不釣り合いな内容で。
まぁ、来て早々娘夫婦の問題にぶち当たれば浮れた心境にはなれないか。