夫婦ですが何か?Ⅱ
その姿を想像しても笑えてくる思考を何とか切り替えて朝食の準備を始めだす。
手早く手馴れた感じに食事を作り上げ温かいコーヒーを用意する。
その間に彼も寝室と洗面所を行き来する気配を感じて。
テーブルにすべてをセッティングしフゥッと一息吐いて、何の気なしに視線を動かした流れを不意に止めた。
ピタリと止まった視線の先にはカウンターテーブルの忘れてしまいそうな位置にポツリと置かれた彼の手帳。
ああ、放っておいたら確実に忘れる。
と、呆れた溜め息をつくと躊躇う事なくそれを持ち上げ朝食の横に移動。
そんな善意からの行動に予測不備にも何かが手帳からはらりと落ちて、床に落ちた厚手の紙を拾い上げると裏表の確認。
裏は何の意味もない白。
しかし表は・・・。
「・・・・・・はっ?」
写りこんでいる画に一瞬の不動。
明らかに間違えるはずのない自分の姿で、別に彼が私の写真を持ち歩くことにそこまで疑問は感じない。
ただ違和感であったのは。
そんな拍子にタイミングよくどこか不愉快に眉根を寄せた彼がリビングに入りこんできて、くるりとその姿に身を返すとすかさず寄り詰め近くの壁に追いやった。
笑顔で。
「っ・・こ、今度は何?本気で仕事に遅れますけど・・・・」
「あなたが私という捻くれた女にぞっこんなのはよぉっく存じ上げておりますが・・・」
「えっ?あっ・・うん、愛してるよ?ハニー」
「なら・・・愛してるハニーを盗撮までしてしまうのは純愛と言えるのでしょうか?」
「はっ?!」
驚き露わに私を見つめる彼にいましがた拾い上げたばかりのそれを突き出し笑顔で追及。
解釈を求む。と。
その【写真】を捉えた彼の表情が今までの驚愕とは別のそれを映しだして焦りも見せる。
写っていたのは私。
でも明らかに撮影者を意識したものではないそれは私の何てことない行動を切り出したような写真で。
明確に言えば近くのコンビニで雑誌を覗き込んでいる姿を撮られた物。
すぐにそれを抜き取ろうと動いた彼の手をヒョイとかわし、更にしまった。と苦笑い浮かべる彼をじっと見つめる。
「・・・・隠し撮りしちゃうくらい・・・ぞっこんなのかしら?」
「こ、これは・・・・愛ゆえの悪戯だよ・・・ハニー」
「DVで訴えてもいいんですが?」
「ごめん・・・見逃してください。出来心なんです」
そう言って素直に謝罪を口にした彼の【許して】の視線に非難と嫌悪の眼差しで一睨み。
でも本当に時間の問題が切実になってきていると判断してとりあえずの解放。