夫婦ですが何か?Ⅱ
スッと身を引くと不満さ示す無言でキッチンに移動する。
そんな私をどこかおどおどと様子見しながら食事の並んだテーブルについた彼が、緊張掻き消すようにコーヒーを飲んでから再び。
「ご、ごめん・・ね?」
「・・・・・不快です」
「うん・・・すみません」
「・・・・食べてはどうです?仕事遅れますよ?」
「・・・・はい、」
黙って食べろ。
そんな風に促せば逆らえるはずもない彼が気まずそうに静かに食事を始めるのをキッチンから眺める。
きっと食べずらい筈。
でも知るか。
そんな空気でさえ仕置きだと言うように腕を組んで威圧的に見つめた朝食の時間。
取り上げた写真をしっかりと握って無言の仕返しを継続していれば、早く感じようが遅く感じようが時間は過ぎ去る物で最後にコーヒーを飲み込んだ彼がゆっくり席を立って手帳を手にした。
いつもより押している時間。
ジャストすぎる彼の出勤時間で、私にまだ気まずさ示した笑みを向けると玄関に向かって歩き出す。
どこか喧嘩めいた空気だろうと玄関まで送りだすのは日課であって、不機嫌の表情継続のまま彼の背中を追ってその身を寄せる。
靴を履く姿を見つめ、ゆっくりと体を起こした彼が体を捻ると私を見つめ眉尻下げても口元に弧を描いた。
「いってきます」
「・・・・・いってらっしゃい」
ぶっきらぼうにも言葉を返せば、『いってきます』と言った癖に私に足を進めた姿が腕を掴むと引き寄せ柔らかく抱きしめてくる。
何のご機嫌取りだ?と思ってみても香るなじみ深い匂いに馬鹿みたいに怒りが半減してしまうのだ。
「・・・・ご機嫌取りも程々に、遅刻しますよ」
「・・・・・・・このまま連れて行きたい」
「今現在はまだ社員ではございませんので」
「・・・ん、・・じゃあ・・・俺の私物って事で」
「・・・・お仕事・・お願いします」
馬鹿な事を繰り返すな。と、懐かしい響きで出勤を促したのにどうも今日は執着激しい彼の抱擁。
甘えるとは少し違う。
どこか不安を感じさせる密着に疑問を投げかけてもこの人は返してくれない気がする。
なら・・・、
「ラブコールくらいなら・・・いつでもお受けしますよ?」
そう言って不安の解消を狙えば、クスリと笑った彼の声の後に捉えた複雑な微笑み。
「・・・・そんな事言われたら・・・5分おきにかけちゃいそう」
「迷惑電話は遠慮します」
「でも・・・その位しないと心配」
何が?
と、聞くべきでしたか?