夫婦ですが何か?Ⅱ
その問いに羞恥するでも驚くでもなく無言の横顔を私に映して、その視線は母になのか翠姫になのか。
ふわりと生暖かい初夏の風が吹き抜けて、あまりの心地よさに目を細めながら髪を押さえた瞬間。
「子供も・・・ある種の夫婦の結論かもな」
「・・・・・」
「どうやって・・・夫婦があったのかを示すように子供の人格が形成されて・・・・、
少なくとも・・・・・お前は真面目すぎるけど・・・、
良い子だと俺は思ってる」
「いい子って・・・・33になる娘に使う?」
「まだそうやって・・・色々な事に悩んで必死で、全てに答えを求めようとするうちは・・・子供に感じて微笑ましい、」
ようやく自分に戻った父の視線。
そして滅多に見ることのない価値のありそうな笑みに照れを隠せず視線を逸らした。
母が父に落ちたのはこの絶妙で図ったように時々落とされる甘さだろうか?
「・・・折り合い・・・茜君とはつけていこうと思って再婚したんだろ?」
「・・・・・・まぁ、そうね。・・・腐れ縁ってのもありそうだけど・・・、少し・・お父さんがお母さんに思ったのに近いのかも。
・・・・・揉めてもぶつかっても・・・隣り合っていられるのは・・・結局この人なのかもしれないって」
「・・・・・それを聞いて安心した」
「・・・・そうなの?」
「まぁ、・・・もしお前が不満だらけならそれなりに茜君に制裁加えて牽制した方がいいのかと真剣に・・・」
淡々と、本気でそう思っているのかも疑わしい無表情で語る父に一瞬は呆然とし、すぐに噴き出して笑ってしまった。
「あははははは、そ、そんな事思ってたの!?全っ然、思いもしなかった・・・ハハッ、・・」
「一応・・・可愛い一人娘だし?それなりに大事に扱ってもらわないと・・・一度すでに傷つけているわけだし」
「フハッ、いい!それ、その無表情で彼に迫ってよ、ハハッ。絶対に心の傷になるくらいビビる筈だから」
無表情で感情的な事を言う父にすっかりハマって笑いすぎて、気がつけば涙目で視界が曇る。
眼鏡を外してその目を擦りながら、一応自分の意思だけは告げねばと声を響かせた。
「大丈夫、」
「うん、」
「私・・・一度した失敗は繰り返さないから。
彼が私を見放さない限りは【折り合い】つけて夫婦を目指したいのよ、」
「なら・・・安心したよ」
決して過去を繰り返すような事態ではないと告げれば、父なりに安堵したらしくその身を部屋に戻し始める。