夫婦ですが何か?Ⅱ





成程・・・父なりに娘を案じてくれていたわけね。


そんな事実を父の背中から感じ取って小さく口の端を上げると自分の身も部屋に戻した。


中に戻れば楽しげな母と翠姫の姿と声。


そして不在な姿に首を傾げたと同時にリビングの入り口からその姿を現した義父。


入るや否やにっこりと微笑んだ姿が手招きし、逆らう事なくその身を寄せれば時計を見ながらその声が響く。



「俺ね、そろそろ戻るから」


「あっ、はい、休日にすみませんでした。両親の送迎していただいて」


「いやいや・・・、息子も不逞をしでかしてくれたし、」


「ああ・・・、」


「その息子なんだけど・・・親子水入らずの今日には邪魔でしょ?ついでに玄関に張り付いてるの引き上げていくから」



クスクスと笑いながら私の返事を待たずに両親に挨拶をしに背を向ける義父。


さすがに申し訳なさそうに息子の不備を詫びる姿は父親だと感じる。


程々に挨拶を交わすとゆっくり身を返した姿が玄関に向かい、それを見送るべくついて行き半開かずの扉だったそれを苦笑いで開錠した義父。


でも、勢いよく飛びこんでくる姿もなく、2人でゆっくり外に出れば玄関扉の横の壁に張り付く様に座りこんでいじけている姿。


捨てられた犬の様だと瞬時に思いながら見下ろして、ゆっくり顔を上げた彼と視線が絡むや否や。



「千麻ちゃんっ!!」



飛びかかって抱き付いて来ようとする姿に真正面から額を押し返すと、心にもない笑みを浮かべて牽制を響かせる。



「何をとち狂って飛びかかって来ているのかしら?私が物の数分であなたの繁殖行動を許すとでも?」


「は、繁殖してない、してない!!ものすんごく誤解!!」


「あ、いいです。その誤解の話今現在聞くつもりないので」


「千麻ちゃぁん!!」



別にあなたがやったかどうか云々ではそこまで疑ってないし。


こんな身近で浮気する程馬鹿でないと知っている。


・・・多分。


でも、そんな疑わしき行動をこのタイミングで取った事が問題で、腹正しき事なのだと理解してほしい。


そんな息子夫婦の痴話喧嘩を楽しげに傍観していた義父が、時間を確認すると彼の服の首根っこを掴み容赦なく後ろに引っ張りだす。



「ほら、これ以上千麻ちゃんからお前の株減ったら可愛い孫に囲まれた老後の夢がストップするだろ」


「社長、なんかその言い方嫌なんですが」


「父さんっ、服伸びる!!これ結構高いんだけど!?ってか、千麻ちゃんと離れたくないぃぃ、」


「茜・・・たまには実家で親孝行するのも長男の仕事だ」


「そうですね。是非性根叩き直す感じに孝行していらっしゃいませ」


「ドナドナ・・・・」


「疑惑満載の夫はいりません」



決定打。


スパンと冷静に言い捨てればさすがリトマス紙男。


一気に青ざめ脱力したのが目に見えて分かった。


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