夫婦ですが何か?Ⅱ
「お怒りのところすみませんがすでに目的地に到達しております」
『本っ当・・・・あり得ない。・・・真面目にさぁ、何でそんな危機感無いの?外もう暗いんだよ!?』
「まぁ、暗いですけど・・・、徒歩数分のコンビニですよ?」
『その数分の間に何かあったらどうするんだよ!?』
「何をおおげさな・・・」
彼の憤りをなあなあに流しながら目的の氷を手に会計に向かう。
一袋でいいだろうかと思案している間にも彼の不満の声は耳に流れ続けて。
『もう、いい!!いいからそこにいてよ!!迎えに行く!!』
「・・・アホですか?あなたを待って何十分も待つなら数分の我が家に走って帰る方が楽です」
『ダメッ、絶対動かないでよ!?今行くからっ、・・・父さん車貸してっーー』
後半遠巻きに聞こえる彼の声に目を細め呆れて息を吐き、氷をレジに置くと財布からお金を出そうとし携帯が邪魔になる。
ああ、もう面倒だな。
「すみません。会計に邪魔なので切りますね」
『千麻ちゃーー』
最後まで聞き終えずに彼の大げさな文句を終了させると邪魔だと言わんばかりにポケットに携帯を突っ込み会計を終わらせる。
しつこくも再び鳴りだしたそれを無視して、買った氷を手にその身を外に出せば来た時よりも紺色が深くなった夜空。
それを一度見上げてからものの数分の帰路につき始める。
さすがに諦めたのか不動になった携帯にクスリと笑って、本当に心配症だと呆れながら歩き続ける。
まぁ、でも確かに彼の懸念も納得する部分もあって、どうやって入手したのかあんなストーカーめいた写真を見ればこんな風に大げさに反応しても仕方ないのかと、距離は短くも薄暗い街灯のみの道を見つめた。
ああ、でも・・・この道も写真に写っていた?
記憶の中の写真を確認するように回想して、一瞬現実の意識がお留守になった。
そんな瞬間だ。
もう歩いてそう距離のないマンションの近く、不意に背後から羽交い絞めにされたかと思うとハンカチらしきもので口を塞がれ後ろに引きずられる。
一瞬は何が起こったのか分からず無抵抗で、正気になったところでままならない自分の体とバランス。
声出したところで響くことなく布地に吸収されて、引きずられるまま走らせた視線で色々な物を映しこんで場所を把握しようと必死になる。