夫婦ですが何か?Ⅱ
「では・・・少しばかり色気挟んだドレスなんてコスプレはいかがでしょう?」
「・・・・」
「あなたも・・・上等なスーツを着て、そうですね・・・ミ〇ュランの星でも得ているレストランに出向くなんて趣向はいかがですか?」
「・・・・2人で?」
「翠姫はお義父上が喜んで預かってくださるでしょう」
「レストラン・・・だけ?」
「・・・まぁ、シチェーションはあなたにお任せしてもいいですよ」
ニッと微笑んで覗き込めば満更でない彼が少し考え込んでから似たように笑う。
そしてそっと伸びた指先が私の頬をくすぐって、私の髪の毛で遊び始める。
「・・・・・和、洋、中・・・・何がいい?」
「ドレスですから・・・洋が妥当でしょう」
「・・・いい店探しておく。だから・・・・いくらかけてもいい。
最高の千麻ちゃんが見てみたい・・・・
これ・・・絶対の条件ね、」
妖艶な笑みで見上げての要求に、いったいこのデート一回にどれだけ出費をする気なのかと軽く笑う。
でもすぐに表情切り替えまっすぐに彼を見下ろすと、彼の唇から頬にかけてそっと触れ、そのまま髪を指先に通して言葉を弾く。
「承知・・いたしました。
でも・・・・期待倒れなシチュエーションなら速攻放りだして帰るから覚悟してよねダーリン?」
「大丈夫。千麻ちゃんが一生離れたくないくらいに惚れ直させてあげるから、」
「ああ、それは到底無駄な話かと・・・」
「何で!?ってかここに来て露骨に落とす!?」
明らかなる決め顔でそれを口にした彼に速攻で否定の突っ込みを返せば、また雰囲気をぶち壊したと嘆く様に落胆する彼。
だけど、そうは言っても本当に無駄なのだ。
それを今更やったところで・・・、
「すでに一生離れないと決めて再婚しているんです。ですからその目的掲げての行動はどう考えても無駄な話ではありませんか?」
特別含みもなく真顔ではっきりとそう切り返せば、最初唖然としてグリーンアイを揺らしていた彼が、フッと力なく笑うと降参とばかりに片手で顔を覆う。
自分としては特にそれを策として意図的に言ったわけではなかったから、彼の反応に疑問を投げるように首を傾げて見下ろせば。
「本当・・・・無自覚は罪だよ・・・千麻ちゃん」
「はぁ・・・」
「あ~・・・なんか・・・いつだって俺が千麻ちゃんに惚れ直してる・・・」
言い終わるより早く私の体に巻きついた腕と、すぐに胸元に密着した彼の頭。
自分が大きなぬいぐるみにでもなったかのような抱擁を受け、見下ろし捉えた色素の薄い髪の頭を柔らかく撫で返した。