夫婦ですが何か?Ⅱ




その姿を想像して切なくなる。


もし傍にいたのなら間違いなく手を伸ばした瞬間だと。


・・・なんて馬鹿な。


私がそれを出来なくなったから彼はそんな状態になっていたというのに。


そしてその時手を差し伸べたのが・・・、



「毎晩ね・・・ただ話す事もなく2人で最悪の回避の為に時間を過ごして、スケッチを終えると部屋に戻って。・・・・でも、あの頃・・・この部屋でまともに寝る事出来なくなってたんだ」


「それは・・・・この前の理由と一緒ですか?」


「・・・・うん、・・・・でも、この前よりももっと酷くて、ベッドだけじゃなくてソファーや他の場所でも・・・。

人間・・・眠れないって精神的におかしくなるんだよね」


「・・・・」


「眠れない日が積み重なるほど耐え切れなくて、・・・そんなタイミングに自己嫌悪の記憶が浮上して・・・思いだすんだ・・・」


「・・・・・何・・を?」


「・・・・・・・・千麻ちゃんが・・・叫ぶように泣いて崩れて俺を拒絶した瞬間・・・」



お互いに・・・・・あの瞬間に言い様のない痛みを抱えている。


確かに比べるべき物じゃない。


あの瞬間にどちらがより傷ついていたかなんて。


だって私だってそこは譲れない。


あの瞬間、どんなに愛していようと体が拒絶する程私の心は修復不可能で。


こうして触れ合うようになるまであなたも知っての通り容易でなかったほど。


でも、


そう・・・・、


私が壊れて自力で動けるようになるのに必死だった瞬間、あなたも同じように壊れて日々を過ごしていたんですね。



「・・・・・俺が・・・千麻ちゃんをリハビリしたっていうなら・・・、俺をリハビリしたのは・・・莉羽ちゃんだったんだと思う」


「・・・はい、」


「会話はしなくても少なくとも一人じゃない時間は、小さくてもゆっくり積み重なって絆されて・・・・、

・・・・・・・・・あの日・・・縋った、」



まるで悪い事をしたかのように躊躇い苦しそうに弾かれた言葉。


そんな彼を宥めるかのように自然と頭を撫でていて。


許しを請う様な姿の彼を静かに柔らかく抱きしめていく。



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