夫婦ですが何か?Ⅱ




それが彼に優しく作用したらしい。


少しの間ただ感情を落ち着けるように呼吸だけを繰り返していた彼がその息に音を混じえ始め。



「・・・・・言い訳・・だけど・・・、別に・・しようと思ってたんじゃないんだ・・・」


「・・・はい、」


「ただ・・・・このままじゃ・・・自分がおかしくなるって・・・、本当に取り返しがつかなくなりそうで・・・一度でいいから・・・・眠りたくて・・・・」


「・・・・」


「でも、・・・莉羽ちゃんが・・・抱きしめきて言うんだ・・・、
『眠るなら・・・悪夢を見ないように甘い夢に浸れ』って。

『その夢で・・・確かにあった幸せの方の記憶を鮮明にして、・・・目が覚めたらそれを求めて動きだせ』って・・・。

自分を・・千麻ちゃんの代わりにしろって・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・・・どうかしてるでしょ?彼女も・・・・俺なんかもっと・・・・。

でも・・・その言葉に縋るしかその時の俺は保てなくて・・・、

・・っ・・彼女を抱いた」



声の起伏が感情の現れ。


言い訳したくて、でもそんな自分に嫌悪して、でも自己防衛のように焦りを見せ、最後は自嘲し落胆する。


そして最後に小さく・・・、




「ごめん・・・・・弱くて・・ごめん・・・

ごめん・・ね、・・千麻ちゃん・・・・・」




掠れて消えそうな響きと、身を縮ませるように丸めた背中。


それでも縋るように私の腕を掴んでの懺悔。


卑怯な方法で自分を保ったと。


心で私を思いながらも、した行為は裏切りだと。


そんな自己嫌悪と罪悪感をずっと抱いてあなたは過ごしていたんですか?


『何で隠していたのか』


そう思う気持ちもある。


でも・・・言えなかったのでしょうね。


言ってしまえば・・・この関係となった自分の堕ちた姿を私に語る事になる。


そして、それを聞いた私が責任を感じて自己嫌悪に落ちることをあなたは恐れ・・・・隠した。


自分の闇だけはひた隠して、私のリハビリだけに専念して。


ねぇ・・・私が回復していく横で、あなただけは心に不発弾抱えて・・・それでも笑顔で過ごしてくれていたの?


良い夫で、良いパパで・・・。


私がそう信じて一緒に過ごしている時間・・・もしかしてずっと・・・心のどこかで後ろめたかったんじゃないですか?


本当に・・・・馬鹿・・・。


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