夫婦ですが何か?Ⅱ





馬鹿ですよ。


でも・・・その愚かにも深い愛情に私は助けられて・・・守られてました。


本当に馬鹿・・・・私が、



「・・・・・・許しません」


「・・・」


「一生・・・許さない・・・」


「・・っ・・ごめん、」


「もっと早く言ってくれれば・・・・・、髪・・・切る必要なんてなかったじゃないですか」



私の言葉にビクリと反応し更に身を縮こませていた彼が、その言葉が意味する個所を耳に入れてから顔を上げた。


この懺悔が始まってからこうして視線を合わせたのは初めてで、絡んだグリーンアイは驚愕に揺れる。


まるで予想していなかった言葉だったらしく、困惑のまま軽く口を開いて私を見るめる姿に力なく笑って額を寄せた。



「・・・・・縋った事で・・・・あなたが自分を取り戻せたのなら喜ばしい事で・・・・裏切りなんて微塵も思わない」


「・・・・」


「むしろ・・・莉羽さんにも感謝してしまいます。・・・・あなたが・・・・私の知らないあなたにならなくてよかった・・・。

あなたが・・・残像なんかにならなくてよかっーーー」


「千麻ちゃん・・・」



最後まで言いきれなかった言葉は嗚咽に掻き消されて、懺悔の間ずっと堪えていた感情の決壊。


ふらりと身を崩して頭を垂れて顔を両手で覆うと、すかさず彼の腕に再度包まれその熱を感じた。


残像でなく・・・・本物の温もり。



「・・・・・言いたくて・・・言えなくて・・・、あんな強気な姿で千麻ちゃんの前に現れたくせに・・・・本当は俺もグダグダな時間があって・・・・」


「っ・・・」


「でも・・・莉羽ちゃんのおかげで・・・千麻ちゃんとの記憶が鮮明になって・・・・どうしてもまた欲しいと思えた。

千麻ちゃんとまた一緒にいたいって・・・生きる活力?

だって・・・莉羽ちゃんには悪いけど・・・やっぱり違った。

今こうして抱きしめてる・・・細くて小さい体の意地悪な女の子専用になってた・・・・俺」



困ったように笑う彼が愛らしいと思うのに涙で霞んで見えてしまう。


馬鹿だと詰ろうと思うのに、口を開けば嗚咽の方が先に零れそうで。


ただ表情だけでそれを伝えようと不満げに眉根を寄せていれば、クスリと笑った彼が理解したように眉根に触れてくる。



「『馬鹿』?」



肯定を示すようにウンウンと頷けば、可笑しそうに笑った彼が私の頬の涙をぬぐう。




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