夫婦ですが何か?Ⅱ
そんな相変わらずな2人節の会話を当てもなく続けていれば、そう遠くない自宅に歩き着き。
エントランスをくぐりエレベーターにも難なく乗り込むと浮遊感を得ながら壁に寄りかかり数字を見つめて。
ほろ酔い感じる体が火照っているのを実感しながらぼんやりとしていれば。
「・・・・・真面目にさ」
「はい?」
「可愛い2人目考えない?」
「・・・・・」
一瞬言葉の意味を考えて呆けてしまった。
何も小難しい提案されたわけでもないのに、自分の中ではまだ遠い選択だと思っていたせいかすんなりと現実的に受け取れず。
彼も文字盤を見つめての言葉であったのに、あまりの私の無反応に様子を伺うようにグリーンアイの視線が移って。
しっかりそれと絡んだ瞬間にようやく発声。
「それは・・・会話続きの冗談ですか?それともーー」
「【真面目に】ってつけたでしょ?俺」
「・・・・・・【真面目に】と言われるとさすがに私も考え込む場面と提案ですね」
どうやら本気の申し出らしいそれに簡単な判断で良し悪しな返事も返せず、視線を泳がせながら現状の心持を考え込む。
自分の中では再就職に向けて日々在宅で彼の仕事をサポートしていたのだ。
でも今程の彼の提案に乗るという事は今まで準備してきたそれを放棄し先延ばしにしてしまうという事。
ますますブランクの開く仕事内容。
ただでさえリアルな場の現状を私は知らないのだ。
今順当に妊娠して出産しても復帰できるのは2年くらい先?
そんな時に復帰しようとしたとしても私は果たして使える存在であるのか。
真剣にそんな事を考えて不動になっていれば、いつの間にか動きを止めていたエレベーターの扉が開いて、彼が開ボタンを押しながら困ったように微笑んでくる。
「ごめん・・・、いや、今すぐな返事は求めてないから。子供も欲しいけど仕事の面でも千麻ちゃんが復帰してくれたら。って願望もあるし」
「・・・・とりあえず・・検討は致しますので保留でも?」
「うん、それに・・・本当・・エレベーターで提案するような事じゃなかったね」
場所の選択ミスだと自虐的に小さく笑った彼が、私に先に降りるように促しすぐ後に続いてその身を下す。