夫婦ですが何か?Ⅱ
気がつけばシーツの感触が背中に優しい。
でも汗ばんだ体にまとわりつく感じは好きになれないと足に絡むそれを感じながら、自分の胸に頭を預け脱力している彼の頭を柔らかく撫でてみる。
まだお互いに敏感。
ちょっとした刺激でも余韻に浸りそうな程肌が熱を下げきっていなくて、密着する肌から伝わる鼓動は平常とは言えない。
今日は・・・・、
彼の方が欲が上回っていたような気がする。
いや、負けず劣らず私も貪欲に快楽を求めての時間だったけれど、微々たる差で彼の欲に劣った。
それこそ彼と関係し始めたばかりの頃は私の方が優位に立つ場面が多かった気もするのに、付き合いが重なればそこは元々経験豊富な彼。
私を把握し的確に弱点を探って記録して、今では私以上にそのポイントを押さえているんじゃないかと言うほど。
「・・・・・・ダーリン、」
「ん?あ、重い?」
「いえ・・・、」
「フッ・・・もしかして・・・まだ足りない。とか?」
「それは当たらずしもですが違います」
「【当たらずしも】なんだ・・・・、相変わらず貪欲ですねぇ」
軽く笑いを零した彼の唇が私の胸元に触れてきて、唇の隙間から噴き出す熱い息に変に欲情しそうだと感じる。
確かに、恐ろしい程満たされた筈なのに、こうして僅かにも休息挟んでしまえば再び溺れたいと思う私は貪欲なのだろう。
でも、今彼に声を向けたのはそういう要求なのではなく。
「・・・・上手いですよね・・・・セックス」
「・・・・・・」
「まぁ、記憶する中でもあなたが数多の女性と関係しているのを秘書として見てきてますから経験値高いのも知ってますが、」
「ちょっ・・・ちょっと待って・・・、何・・これはいきなり責められてるの?褒められてるの?」
「・・・・どっちかと言えば褒めてますかね」
「何か付属する言葉で複雑で喜びにくいんだけど・・・」
まさにそんな表情で体を起こし私を見下ろす彼の動揺。
それを冷静に見つめ上げて静かに彼の体に指先を這わせて。
「・・・挿れて、」
小さく要求すれば困惑しつつも再び身を重ねる彼の首に腕を回して。
でも、それだけ。
情事に興ずるわけでなく単にその身の共有のように繋がって不動。
密着する肌が心地よくて温かくて。