夫婦ですが何か?Ⅱ
そんな私を他所にまだどこかぼんやりとした表情のままベッドの中で不動の彼。
そのグリーンアイもすでに私ではなく宛もない空気を見つめているような。
むしろ彼の方がどこか夢の世界に感情を残してきているような。
「・・・・・・・スープ・・・飲みたい」
「・・・スープ?何のですか?」
「・・・・・・・・・・・・・あっ、」
『あ?』
不意にぼんやりとしていた彼が口にした要望に、一体どんなスープを頭に置いての発言だったのか言葉を返せば。
ゆっくりと視線をこちらに移した彼が私を見つめる事数秒。
そうして弾きだされた響きは返事ではなく、何か思い出したかのように弾かれた音。
そして僅かに動揺にその目が揺れたのを私が見逃すとでも?
「ダーリン・・・・」
「・・・なんだいハニー」
「・・・・・・・・なんでもないわ」
「っ・・・ちょおぉぉ!!待って!!何かすっごくその反応嫌!!」
「何がですか?何でもないって言ってるだけでしょう?」
「違うっ!!絶対に本当は追及したい事があったのに悪意含めて追及放棄したよね!?」
「考えすぎでは?常日頃そういう感覚で自分が人と接しているから疑心暗鬼になるんですよ」
「うっそ、結果俺が悪者!?」
探りを入れるように馴染みある呼び方で彼に疑問をぶつければ、これまた【問題なんかないぞ】的に微笑んできた彼を一瞥。
そして特別なんでもないと、明らかに含み孕んで視線を逸らしベッドから身を出しかければ引き戻すように腰に巻きついてきた彼の腕。
彼に引き止められたことで完全に晒された裸体に部屋の空気がひんやりと触れて、客観的に見たらきっと間抜けだろうと自分で嘆く。
「すみませんが離していただけませんか?人としてまともな格好になりたいのですが」
「大丈夫。人間の本来あるがままの姿だし!!むしろ現状君の魅力が最大限に引きだされてるよハニー」
「つまり服着た私は魅力半減だと言いたいのですね?」
「そうじゃなくてっ!!・・っああ、ならっ、ならっ、わかった!!着よう!!」
「・・・・・・」
「エプロンなんてどうだろう?ちゃんと隠れるとこ隠れるし斬新で新たな美がーーー」
「・・・喜んで着ましょうとも」
「えっ、・・・マジ?」
「その姿で要望であったスープを作りましょう。ちょうどいい具材が今目の前で猥褻でくだらない事口走ってますから、」
その目を嬉々とした真顔でセクハラ発言をする彼に、提案に乗った様な響きを口にしてすぐに落とす。
暗に『殺すぞ』と含んだ補足を口にしながら指先で彼の喉元をピッと横に引いてにっこり微笑む。