夫婦ですが何か?Ⅱ
エレベーターホールに向かって感情的な靴音を耳に入れて。
現在2階で留まっていたエレベーターが下降するのは時間もかからず。
ふわりとその扉が開いて風が巻き起こると、彼から馴染みある香りが空気に混じって自分に絡む。
あっ・・・、
なんか・・・・。
浮上した感情強くその身を箱に仕舞い込んで、彼の指が苛立ち露わに閉ボタンを押し不愉快な表情を私に向けた瞬間。
「千麻ちゃんはっーーんんっーーー」
「っーーー」
彼の唇が不満を述べるより早くその言葉に食いついて飲み込んだ。
ドンとぶつかる音と音に見合った感じに振動した密閉空間。
微々たる衝撃走るほど彼を壁に押し付けてキスで固定した。
触れてしまえば溜めこんでいた感情の決壊でコントロール不能になり、更に密度増すように舌を絡めて。
呼吸も貪り野外でするような物でないキスを必死に交わしてゆっくり離れた。
「・・はぁっ・・千麻ちゃ・・」
「・・っとに・・・嫌ですっ!!」
「っおぃ・・もう、何さ!?キレたかったのは俺なのにっ・・何でいきなり濃密キス!?そして何でいきなりキレられてるの俺っ!?」
彼からしたら当然の困惑と不発なんだろう。
不満をぶつけようとしたのにそれを見事飲み込まれて逆切れされて。
それを分かっていても収まらない感情で、不愉快に眉根を寄せながら彼の両頬を包み込んで至近距離から威圧。
「・・・・・ダーリン・・・」
「・・・・はい、ってか、おかしいよね?何で俺が睨まれてるの?こんな至近距離から」
「ダーリン・・・」
「はいはい、・・・・黙れって?」
若干の呆れた反応。
溜め息交じりに私の髪を何の気なしに弄った感触がスイッチの様に、
「・・・・ダーリン・・・・・、
・・っ・・・・・・・・・だいすき・・・」
「っーーーんんっーーー!?」
『ダーリン』までは威圧継続で不意に寄せていた眉根を離し眉尻下げると脱力したように滅多に口にしない感情の暴露。
見事動揺した彼の表情を見ればそのパンチはデカかったと推測する。
でもそんな推測は後付で、『大好き』と口にした直後にまた食いつく様に唇を重ねた現状。
ご機嫌取りがしたかったとかではない。
単に・・・彼と言う存在がどれだけ安堵する対象なのか実感し、その安堵を更に認識し強めたい感情の暴走。