夫婦ですが何か?Ⅱ
でもあえて理由を声に響かせる。
「・・・・まだ・・顔も洗ってませんから」
「うん、それが理由だと思った」
「一応、これは恥じらいです」
「フフッ・・・俺達何やってんだろうねぇ?客観的に見たら朝からいちゃついてる『勝手にやってろ』的な夫婦に違いないよ?」
確かに。
彼が言う通りに今までの流れは単なるバカップル。
しかもこんな早朝から中途半端に扇情さを残した姿で密着して。
もう特別熱を持つ新婚夫婦というわけでもないというのに、どうも彼と私は何かきっかけがあれば知らず知らずに密度の高い2人になってしまうらしい。
まぁ、慣れた物だ。
今更羞恥すらしない。
普通なら夫婦をしていくうちに感覚鈍っていくそれが健在ならいい事じゃないか。
でも・・・まぁ、・・・・さすがにそろそろ。
「・・・・朝食でも作りましょうか?」
「裸エプロンで?」
「そんなに自ら食材に立候補したいのであれば」
ようやく行動開始だと彼から離れベッドを下りかけたタイミングに、再度投げられたしつこい要望に牽制。
呆れた眼差しで威嚇するように見つめると、クスクスと可笑しそうに笑った彼が顔の前で手を振って。
「ははっ、ウソウソ・・・それに・・・訂正」
「・・・何がですか?」
「・・・・スープはいらない」
「・・・・飲みたいとおっしゃってたのに?」
「うん・・・それより・・・、やっぱり千麻ちゃんの作る味噌汁飲みたいなぁ。って・・・・」
「・・・・・・・・・なんか、古臭いプロポーズのようですね」
「・・・・俺の為に一生味噌汁を作ってくれないか?」
「昭和ですね」
「でも、なんかほんわかするよね」
「では・・・、一生続いても飽きないようにレパートリー増やさなければですね」
これは言葉遊び。
暗に一生作る気があると示して切り返えして、何食わぬ顔でクローゼットに歩みを進める。
当然背後で意図を理解している彼が笑う声がして、直後に『ん~』と、言葉でもない背伸びの声が響いてくる。
ようやくまともな朝の軌道。
クローゼットで適当に服を纏い髪をまとめる。
そんな流れの中で遅れてクローゼットに入ってきた彼が背後で服を選んでいる姿を振り返って。
不意に目が留まったのは彼の脇腹の傷痕。