夫婦ですが何か?Ⅱ
それを出せば反論の余地がないとでも思ったのか、腕を組んで言い負かしたように見下ろしてくる彼に呆れた視線で見上げてしまう。
確かにそれは記憶に新しい事ではあるけども異例の事態でもあった事で。
あなたが誰だけ私を高く評価しているかは知りませんが、世の殿方全てをひれ伏せられるほど絶世の美女でもあるまいし。
心の中で色々と反論を返し、それでもそれを音として響かせるのは面倒だと溜め息を一つ。
そして彼の態度を無視したようにくるりと視点を変え榊と向かい合う。
「で、どんな方が?」
「千麻ちゃん!?俺の事無視!?」
「煩いので少し黙ってもらえませんか?」
「・・・・酷い・・・」
「お気になさらず続きをどうぞ。どうせ数分すれば機嫌も回復しますので」
あからさまにショックを受けたと壁に寄る彼を見て見ぬふり。
でも感じ取れている姿を気にするな。と、全く気にしていない感じの隣人に向けて。
「うん、特別・・・イケメンとかではないかな。普通」
「まぁ、イケメンと言える類の人間は見飽きているので逆に新鮮で美味しいですが、」
「千麻ちゃん!?」
「性格は温厚で草食系?いっつも申し訳なさそうにニコニコしてるような・・・」
「うーん、ますますタイプですね」
「ねぇ、俺いるよ!?すぐ後ろにいちゃうのよ!?」
「ただ・・・・まぁ、趣味に対しては熱が上がりやすいタイプ?それを抜けば人畜無害かと」
「最高ですね。逆にちょっと味見してみたいような・・・」
「入居拒否!!超危険人物!!」
「・・・・さっきから煩いですよ」
「千麻ちゃぁん・・・浮気しないでぇ・・・・」
するか馬鹿。
本気で焦るなよ。
振り返って詰ろうかと思ったのに、あまりの彼の必死な表情に哀れみさえ浮上して言葉も音にならず。
ただ冷めた眼差しで人生の勝ち組であろう一般的イケメンの夫を見つめる。
何でも持ってるイケメンが普通の男に危機感抱くなよ。
と、言ってもこの男はへこんだままなんだろうな。
まぁ、こういう弄りやすい感じが私の好みでもあるんだけれども。
「大丈夫です」
「本当に?」
「あなたが気がつかないよう秘密裏に関係するのは得意かと」
「・・・・・・」
「冗談です。だから本気でショック受けたように固まらないでください」
あなたはそんなに余裕のない男ででしたでしょうか?