夫婦ですが何か?Ⅱ
何故わざわざ隣り合ったのかという疑問と、言葉や表情の意図を探るように長身の夫を隣から見上げれば。
視線より早く指先に絡んでくる彼の指先。
分からない。
何故こんな自宅の決して広いわけじゃない廊下で隣り合って手を繋いでいるのか。
傍から見たら疑問ばかりの光景だろうと、自分の脳内でも客観的に自分たちの姿を想像して複雑な心情になると同時。
「こうして隣り合うようになってからの千麻ちゃんなら誰にも負けないくらい理解してる」
「・・・・」
「って、言いきれる気持ちでいるけど・・・・・、実際知らない事ばっかなんだよね」
「なんか矛盾してませんか?」
「全然・・・矛盾じゃないよ。だって俺、少なくともあの会社で秘書してた頃の千麻ちゃんからしか知らないしさ」
ああ、そういう事ですか。
ようやく言わんとしたいことを理解して納得。
直後に当然の呆れ全開の溜め息をつくとそのままの視線を彼に送った。
「・・・お互い様。・・・それこそ過ぎた時間はどうにもならないものでしょうに」
「それは俺だって理解してるけどさ。好きな人を余すことなく知って理解したいってのが恋心じゃない?」
「・・・・昭和〇〇年9月17日生まれ、33歳ーー」
「えっ?・・・・何?いきなり・・・」
「いえ、過去が知りたいと言う風に聞こえたので生い立ちを、」
「極論なのか単なる漫才の吹っかけなのかどっち?」
「どちらかと言えば後者が強かと」
「やっぱり」
だって、いきなり現状どうにもならない様な内容を吹っ掛けてきたのはそっちでしょう。
そんな言葉を心でだけでぼやいて、溜め息を漏らすと中途半端な食事を終えようとリビングに向かって歩きだす。
伴ってしつこく手を絡めている彼も歩みを進めて、室内に戻りテーブルにたどり着けばさすがに静かに外れた指先。
そのまま今度はしっかり向かい直すように座ってグリーンアイと視線が絡んだ。
「・・・・・何ですか?」
「ん~、いや、多分、ベッドでのカルチャーショックから抜けてないのかな」
「そんなに私の青春時代に物申したいですか?」
「そうじゃなくて・・・・、当たり前なんだけど俺って千麻ちゃんの事分かってるようで分かってないなぁって・・・」
「それを言ったら私もあなたの爛れた青春自体はカルチャーショックでしたが?」
「だから・・・爛れてないんだって・・・」
そこを突かれると痛い。
そんな風に眉根を寄せての彼の苦笑いを視界に捉えて温くなった味噌汁を口に含む。