夫婦ですが何か?Ⅱ




すでに彼に向けていたというのに、スッと顎に絡んできた彼の指先が【優しく】乱暴に、矛盾にも感じる力や動きで私の顔を固定して。


すぐに食いつくようなキスを落とされるとぐるりと立ち位置の変更。


背中が壁にトンと当たって密着し、そんなタイミングに到着音響き扉が開きかける。


当然開いたそこは馴染みある自分たちが住んでいるフロアであるのに、素早く動いた彼の指先が閉ボタンを押して再びの密室。


静かに閉まった扉で密度が増せば体の密度も増してキスの濃密さも増した。


息苦しいのに快感で。


普段なら負けたくないのに今は飲み込まれたいと思うほど。


軽く強引さ示す顎を固定する指先も好きだ。


年下なのに過ごすほどに私を追い抜く勢いの大人びた姿も。


もっと子供の様な姿であったのに・・・・。


気がつけば、・・・・大人になっていたんですね。


今更な意識を脳裏に、でもすぐに余計だと掻き消されるほどの濃密なキスに沈められて。


そのまま抵抗なく沈んでしまおうかと思った瞬間に呼吸を得て【苦しく】なった。


乱れた呼吸が耳に痛い。


でもそれを労わるように、愛でるように頬を這う指先に目を細めた。



「・・・・っ・・攻められたい」


「ふはっ・・・いきなりM宣言?目覚めちゃった?」


「・・・・根っからのSです」


「の、割に・・・・いやに俺にべったりですね?」


「・・・・その嫌味すら心地いい」


「ははっ・・・やっぱりMじゃん」




言葉とは裏腹にしっかり彼の細身の体に腕を巻きつけ密着していれば、意地悪くそれを指摘した事にも安堵を示す。


そんな私を茶化すように笑う癖に、愛おしそうに抱きしめて髪を撫でてきて。


らしくない。


でも、感情がいかれている今はこのらしくなさが居心地いいと彼のスーツの感触を頬に密着させていく。



「うーん・・・可愛い・・・」


「・・・・・期間限定、時間限定ですが」


「嘘ん!?なら【限定】の内に美味しくがっつり食べておきたいんだけど?」


「・・・・・・・イライラしているので・・・・生半可じゃ満足しませんが?」


「大丈夫。まさかの千麻ちゃんの愛らしさで滋養強壮されてるから」


「・・・・本当・・・言動が能天気で馬鹿ですね」


「でも・・・・・大好きなんでしょう?」



ああ、優位の緑。


その表情も小生意気な上司の時より大人びて・・・魅力が増しましたね。



「・・・馬鹿ですね、

・・・・・・嫌味でも愛してるんですよ」



言った直後に唇を塞がれたのは必然。


予測済みの口づけでもうしばらくジャックしたエレベーターの密室。


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