夫婦ですが何か?Ⅱ
やや張った自分の声が、深い会話を知らない人には軽く軽視されるような言葉を弾いて。
それに意識が行くと瞬時に周りの様子を伺ってしまう。
特別にぎわってもいない休日の午前中で良かったと胸を撫で下ろし、すぐに元凶になった孝太郎を見上げて非難の眼差し。
捉えた姿は可笑しそうにクスクスと笑っていて、その表情を見た瞬間に気がつくのは・・・。
蟠りの軽減。
きっとまだ根には持っているのだろうけどこんな風におふざけを交わすくらいには関係が改善してきているという事。
千麻ちゃんマジック?
だとしたら、やはりこういう機会を設けてくれた彼女の配慮に感謝すべきなのかと見えもしない自宅付近を見上げてその姿を想像した。
そんな耳に入りこんだのはもう一人の不満。
「孝太郎は本当に意地悪な事言うんだよなぁ。それに失礼だよ・・・確かに・・・茜君は男ウケしそうな顔してる上にそう言う女子の妄想のネタになりそうだけど・・・」
「拓篤さぁんんん!?失礼とか言いながら肯定してる!!俺本気で女の子しか興味ないからね!?」
「うん・・・あはは、わかってるよ。・・・視力は悪いけど君の手にしっかりと指輪は見えてるから」
力のない笑顔。
『ごめんごめん』
そんな言葉も言わずとも付属してそうな笑みに、ウッと押し黙って不満な表情だけを向ける。
俺に申し訳なさそうに眉尻を下げて見せて、今程自分が触れた内容示す俺の左手に走る視線。
「既婚者なんだねぇ」
「・・・・・一応補足ですが・・・・【女性】で、可愛い愛娘もありの夫ですから」
「ははっ・・ごめんね。大丈夫疑って無いよ」
「そもそも・・・変な話題振った孝太郎が悪い!!」
元凶はお前だ!と振り返って捉えた姿は、すでにこの論争に興味はない。と言いたげにひらひら舞っている蝶々をぼんやり見つめている始末。
でも俺の声に反応した視線が無気力に戻り。
「・・・いきなり矛先俺かよ?」
「いや、始めたのはお前なのにフェードアウトしていったんだろ」
「なんか・・・・俺無視して親密になってるなら『ここは若い人達で、』的に黙ってようかと、」
「お見合いかよ!!」
「フハッ・・・」
「拓篤さんは俺と孝太郎の会話に簡単にツボりすぎだから!!」
休日・・・。
しかも朝にまだ近い時間帯のマンションの真ん前での男3人のグダグダな姿。