夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・・・・・・・っ・・た・・くま・・」
「・・・わ・・・わぁ・・・・本当に・・・本物の千麻だぁ・・・・」
「っ・・な・・・何でぇぇぇ!?」
うっわぁ・・・。
俺の知らない千麻ちゃんがいる感じ。
お互いに存在確認したらしい2人が同時に驚愕に満ちて。
でも、尋常じゃない驚愕を見せたのは・・・・千麻ちゃんの方。
俺だってあまり見た事のないような姿。
驚愕にいつもはクールな顔が見事崩れて、眉尻下げ頬は見事なまでの紅潮。
大きな目の瞳孔が開いて動揺に揺れて、その視線は俺に現状説明を求める意図。
いや・・さ、
現状説明して欲しいのは俺もなんだけど?
それでも拓篤さんを指さし異常なまでの気迫と驚愕での彼女には負けて、可笑しくもないのに口の端を上げて何とか声を響かせた。
「えと・・・・何やら・・・微笑ましくも面識あった様で、
・・・・新しい・・隣人さんですよ?・・千麻ちゃん、」
俺自身も色々と動揺はしていたのに、いつもみたいに彼女を追い詰める様な事は出来なくて。
逆になるべく刺激しないように作り笑いまでしての現状説明に、見事更にその目の大きさを表した彼女が再度拓篤さんに視線を移した。
信じられない。
そんな視線で言葉を失って、逆に何とか声を発したのは、
「ははぁっ・・・・・・ひ、久しぶり・・・、相変わらず・・美人だね・・・」
一言。
そのたった一言。
俺がそれを言ってもきっとサラッと流される一言。
なのに拓篤さんが動揺しながらも述べた久しぶりの再会での感想は、【ドライ】な奥様には相当な爆弾だったらしい。
見事被爆した彼女の紅潮が一気に耳まで到達したのを捉えた瞬間。
「っ・・・きゃあぁぁぁぁ!!!」
あ、滅多に聞いた事ないパニックに満ちた彼女の悲鳴。
そしてその悲鳴がドップラー効果を発揮して、ふわりと微々たる風を感じた直後には彼女の姿は自宅の前まで移動している。
振り返った時にはすでに部屋に駆け込んだ直後で、よく一瞬で部屋を開錠したものだと思ってしまうほど。
でも、そんな疑問は長くは継続しない。
だって・・・・物凄く大きすぎる問題が残されてる。
薄々は把握している現状。
それでも薄い期待でそれを否定してほしくて拓篤さんに視線を移せば、拓篤さんの視線は俺の自宅の扉を見つめる。