夫婦ですが何か?Ⅱ




そうだよ・・・。


もうお一人・・・相当パニックになっているお方がいるんだった。


多分誰よりも・・・。


今更その対象に意識がいって、沈んでいた体を浮上させると足早に自室の前に移動する。


扉に手をかけまさに入室しようというタイミングに孝太郎の声が背中にかかって。



「おいっ、鍵っ、」



振り返れば『返せ』と言わんばかりにこちらに手を差し出している姿に、一瞬の思考の後に自分が手にしている鍵だと理解。


すかさず対象の隣室の鍵を投げ返すと、それが孝太郎の手に戻るより早く部屋の中に駆け込んだ。


靴を雑に脱ぎすてて、短い廊下を駆け抜けるとリビングにその身を投じる。


でも視界に捉えるのは日の差し込む閑散とした静寂の部屋。


神隠し?


そんな言葉を脳裏にリビングからキッチンに視線を走らせ、目的の不在を確認するとその身を返しすぐ背後の扉を開ける。


薄暗い寝室。


そしてそこもまた綺麗に布団の整っているベッドと人っ気のない空気感。


一応と、クローゼットの扉を開けてみたけれど不在。


その流れで客間洗面所と続き、いよいよそこしかないと判断した扉の前で、複雑に口の端を上げて一息。


そうして躊躇いながらかける言葉に迷いながらも声を響かせた。



「・・・えと・・・千麻ちゃん?」


「・・・・・・」


「レッド~・・・・グリーンは戦闘不能なんですが・・・」


「・・・・・レッドは・・・降板でフェードアウトさせてください・・・・」


「狡っ!!ってか無理でしょ!?むしろ俺以上に渦中の人でしょ!?千麻ちゃん!!ってか・・・・出てこよう!?」



多分施錠されていると分かっていたけれどノブに手をかければやはり固く動きを見せない。


仕方なしに彼女がこもっている扉に向かって声をかけ中の彼女の心情を探る。


しかし・・・、何故、トイレなんて狭い空間にこもる?


翠姫も一緒に。



「っ・・・無理・・・・無理ですぅ・・・・」


「千麻ちゃーん・・・いつになく口調と声音が弱弱しいですよぉ?」


「っ・・だって・・だって、何で!?何で拓篤がいるんですか!?何で隣人!?」


「いや、それは俺達3人全員が共通で思ってる事だと・・・」


「う・・うわぁ・・・うわぁ・・・・・無理ぃ・・・・、こんな主婦じみた自分毎日見られるなんて・・・・無理ぃ・・・」


「・・・・・・・それはどう解釈していいの?乙女心的恥じらい!?それとも何か理由あって!?

どっちにしろ千麻ちゃんが可愛い反応過ぎて、俺としては嬉しいやら悲しいやらで超複雑なんだけど!?」



いつもとは確実にキャラの違う愛妻に完全に困惑してますけど!?



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