夫婦ですが何か?Ⅱ
それでも動揺したわけじゃない。
ただ、彼も冗談のつもりで言った言葉に無言の真顔で見つめ上げ否定も肯定もしなかっただけ。
特別後ろめたさもない人物の回想に私が怯む必要もないし。
だけども彼はそうはいかないらしく、見事ゆらゆらと焦りで揺れるグリーンアイは見ものだ。
「な・・・何で無言んんんん!?」
「はぁ・・・・余裕ないですね。何を焦っているんですか?」
「いや、情事中に奥さんが他の男とか思い出してたら焦るでしょ!?」
「安心してください」
「えっ?あれ?・・・違うの?」
「そんな夢想するくらいなら相手に迫って現実にするのが私ですから」
「ちょっ・・・・それ、リアルに焦る。・・・・まさか本気でしてないよね?」
「・・・・・それを本気で問いかけているなら戦争を吹っ掛けられていると解釈しますが?」
「千麻ちゃんが疑いかかるような事言ってるんじゃん。・・・もうっ・・・」
あらっ・・・。
『もうっ』と苦悶の表情を浮かべた直後に見事眉尻下げて息を吐いた彼が私の頭の横に顔を埋めて、存在を確かめるように抱きしめ言葉を落とす。
「不安にさせないでよ・・・・」
「・・・何、私の言葉一つで不安になっているんですか。あなたはもっと自信家で傲慢な上司であったと記憶してますが?」
「それは・・・【上司】なだけだったからだもん。仕事の関係は揉めようがすれ違おうが次の瞬間には割り切って隣り合える・・・でも・・・感情絡む夫婦は別でしょ?」
「もう散々これ以上ないくらい揉めて拗れての今の関係でも・・・・不安だと?翠姫もいるのに?」
「・・・・・・奥さんがなかなかの型破りな物で・・・・」
「・・・私のせいだとでも?」
フッと上がった顔が対峙して、不満も孕むようなグリーンアイで【型破り】だと非難する彼に負けじと不満を視線に乗せる。
なのに不満顔継続で挑むように見つめてくる彼が表情に見合わない優しい仕草で私の頬の髪の毛を取り除く。
何なんだか・・・。
でも、いつみても綺麗すぎる緑はやはり羨望の対象だ。
うっかり会話の内容忘れ、その緑に誤魔化されて愛でるように彼の髪を指先で遊び始めたのに、
「千麻ちゃんのせいだよ・・・」
「・・・・本当に喧嘩吹っ掛けてます?」
「・・・・・・千麻ちゃん・・・・こんなにずっといるのに、毎日新しい魅力見せてくるんだもん・・・・」
「・・・・・・はっ?」
「全部を把握して閉じ込めておきたい・・・・」
言うなり反論許さず、今も私の全てを【把握】することを求める様に密着した唇。