夫婦ですが何か?Ⅱ
私が?
まだあなたに新しい姿を見せていると?
そんなつもりはさらさらないのですが。
自分では意識ない彼の言い分に疑問を感じながらも手練れなキスに溺れて浸る。
こうして全てを許して曝け出して、なのにまだ足りないと感じているのなら彼は相当な貪欲だ。
でも自分では理解していない【魅力】とやらでまだ彼の執着を得られているというのならそれはそれで利得と言える。
そっと彼の背中に指先を這わせながら腕を回し、ようやく下がっていた熱をじりじりとあげていく。
あっ・・・、
したい・・・かも。
でも・・・・・、
貪欲なのは自分もだと感じた浮上する欲に、閉じていた目蓋を薄ら開ける。
捉えるのは彼の長い睫毛や近すぎる顔のパーツ。
肌が綺麗で羨ましい。
そんな事まで思ったタイミングに彼の目蓋もゆっくり開き、綺麗な緑と視線が絡んだ。
瞬時に口内に酸素を得て。
「・・・・していい?」
響いたのは彼の声。
自分より早く投げられた同提案に小狡い私の小さな芝居。
「仕方ないですね、」
本当はしたかった癖に誘われたから乗るような。
でも言った方が負けなのだ。
こうして私が優位を得て、彼が苦笑いで【負けてくれる】。
私達の関係は程よく成り立っている。
生ぬるく心地よく・・・。
「・・っ・・・・」
「その顔・・・・好き・・・」
緩く再開された動きでも充分に胸がざわついて、でも激しさがない分出来る余裕で吐息交じりの彼の言葉が落とされる。
いや・・・問いかけ・・か?
むしろ・・・これが狙いだった?
「ねぇ・・・」
「んっ・・・」
「さっき・・・・本当に・・何を考えてたの?」
狡い・・・・。
駆け引きがまともに出来ないこんな時に、流して誤魔化した事を持ち出してくるんだから。
負け姿勢見せて油断した隙にくるりと返してくるこの人はやはり策士だ。
そんな策士で本当の弱者でないから、身を許して寄り添っているのですけどね。
でも・・・・、
「・・・・んっ・・・隣人・・関係・・・住人にでしょうか・・・」
「・・・新崎?」
「それも含め・・・一番謎多き・・・同フロアの彼女とか・・・」
「・・・・っ・・・会ったの?」
えっ?
・・・・何その反応・・・。