夫婦ですが何か?Ⅱ



やんわり対象を一つでなくぼやけさせるように住人全体を示して口にして。


更に散らせて的に上がっていなかったもう一人の住人である彼女を引きだせば思ってもみなかった彼の反応にこちらも驚く。


そう言えば、私が近所に興味出さなかった故に、こうして明確に彼女を引き出した会話は初めてだと理解する。


そして引き出せば思ってもみない、予想もしていなかった彼の反応。


『会ったの?』って・・・、同じフロアに住んでいるんですから会う事もあるでしょうよ。



「・・・・・何か、・・・問題が?」


「あっ・・いや、何ていうか・・・・彼女って本当に幽霊住人だからさ。こう・・・・ト〇ロ的な・・・必ず会えるとは限らないような・・・」


「・・・・だから・・必ずは会ってないです。でも稀に姿ぐらいは見かけてますよ」


「そっか・・・、そっか・・、見かけて・・・ね」


「・・・・・ダーリン。・・・もう一度聞きますね、『何か、問題が?』」


「ないよ」


「・・・退け、」


「何で!?迷いなく返答しても疑うわけ!?」


「逆になんか怪しいんですよ」



形ばかりは即返した彼を言葉のままに押し退けると行為の中断。


その身にタオルケットを素早く巻きつけると髪の毛を掻き上げながらベッドを下りた。



「ちょっと、ちょっと待ってっ、本当に何でもないって!あんまり俺は見かけないから驚いただけじゃん!!」


「じゃあ、今日は言葉を交わしたって言っても焦る要素はありませんね?」


「別に・・・、同じフロアに住んでて遭遇すれば言葉くらい交わすでしょ?」


「・・・・・ムカつくくらい・・・自然に返しますね。だいたい・・何笑ってるんですか?」


「ん?もしかして・・・らしからぬヤキモチ妬いて疑ってくれたのかな?って・・・」



嫌味で意地悪で狡猾で・・・。


窮地を言葉一つで巧みに返すのがこの男。


そうして今でさえ自分にかかった疑惑を煙に巻いて自分のペースに持ち込もうとしている。


私には通用しないって知っているでしょうに。


でも・・・いいでしょう。


本当にやましい様な後引く秘め事なら逆に私に告げてくるような人だ。


現在(いま)に関わってこないそれなら・・・誤魔化されてあげてもいいでしょう。


ニッと強気に、でもどこか低姿勢にも感じる笑みで、ベッドの上に座り私を見つめる姿を立った位置から見下ろし目を細める。


でも、深く息を吐きだすとベッドをギシリと沈ませて、彼を見下ろす形に膝立になって頬を包み込む。


ムカつくほど・・・・綺麗な男。





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