夫婦ですが何か?Ⅱ
「千麻ちゃんが心配するような関係じゃないよ?」
「別に・・・心配もしてません。むしろあなたの過去の女性関係の多さは把握して受け入れての婚姻関係ですし」
「おおう・・・なんか・・複雑な言葉を・・・」
「事実でしょう。だから今更過去の関係にグダグダ悩むほど私も乙女チックではございません。でも・・・・」
「・・・・・っーーーー痛ってぇ!!!」
響いた断末魔の様な彼の声にクスリと笑うと意地悪に微笑んで、人差し指を唇に立てながらチラリとベビーベッドに視線を走らせる。
昨夜彼が私にしたように。
そんな私を眉根を寄せつつ無理矢理な弧を口元に浮かべ、今程私が独占欲刻んだ首筋を抑え見上げてくる彼。
そっと外された手の下の首筋にはくっきりと痛々しい赤が鮮明で、しっかりと自分の歯形が爪跡を残す。
「か、噛んだ・・・噛まれた・・・けど?」
「・・・悲観的になる乙女心は持ち合わせてませんが・・・・、そしてあなたの言葉に反論するなら・・・」
「は、反論?」
「【らしくなく】ではなく、むしろ・・・独占欲の塊なのよ?ダーリン」
「独占・・・欲・・・」
「女ですもの、一瞬でも自分の物が他に奪われそうだと感じたら・・・悲観するより早く刻みますよ。こんな風に・・・」
指先で示すように噛み後をなぞる。
どうやら触れるだけで痛みが走るらしいそれに軽く眉を寄せた彼が負けたと言わんばかりの苦笑い。
「本当・・・千麻ちゃんは、心通わせれば意外と情熱的なんだよねぇ」
「情熱と言うよりは・・・、女は大幅独占欲と嫉妬で構築されているものなのですよ。
それを隠す為の仮面が【可愛さ】や【愛らしさ】です」
「千麻ちゃんの仮面は?」
「・・・【無関心】と【真面目】装った鉄面皮で、しょうか」
「【装い】なんだ?」
クスリと指摘してきた言葉にニッと口の端を上げると彼の膝に跨った。
こめかみに触れた指先をゆっくり下に滑らせて、顔を確かめる様に首を傾げて覗きこむ。
どこか誘う様に笑う彼に同じ様な笑みで挑んで、唇の割れ目を指先でなぞると言葉を落とした。
「私の仮面の下なんてとっくにあなたに見せてます」
「もっとしっかり・・・常に見てたい・・・」
言葉を示す様に頬を滑る指先に、すかさず噛みついて小さく笑う。
「【常】に見るそれなんて・・・、なんの駆け引きもなく手にはいる物を好むあなたでもないでしょう?」
そう告げれば見事開いた双眸と、直後に噴き出しクックックッと噛み殺した様な笑い。