夫婦ですが何か?Ⅱ



シンと静まる空間。


ふわりふわりと風だけが動いて、私と言えばまっすぐに彼女の人工的な薄紅の瞳を見つめて答えを求める。


どれくらい見つめあったのか、多分数秒何だろうけど長く感じた。


しばらくしてスッと視線を動かしたのは彼女の方で、薄紅の視線を静かに隣に立つ拓篤に移すと軽く頭を下げる。



「・・・・・・ごめんなさい」


「ええっ!?いや・・ほ、本当に僕何とも・・・」


「・・・・・・・私だったら・・・・殴ってる」


「な、なぐっ・・・」



応用の効果。


引き出した内容は正解だ。


彼女にとってSANCTUARYは特別で大切な物。


それを貶された場面を想像して同時に反省したのだろう。


そして迷わずに潔く謝る姿から感じるのは、悪い人ではないという事。


彼女に悪意はないのだ。


それを何となく理解していた筈なのに・・・。


つい身内に関してだと感情的に反応してしまったらしい自分。


あの瞬間拓篤が馬鹿にされたようで腹が立って、悪意がないと分かっていても非難するような言葉を向けてしまった。


なんか・・・嫌な感じ。


複雑な自分への感情に胸がざわついて、宥めるように息を吐いた瞬間。



「・・・・・・・茜に会いに来たの」


「・・・・・ああ、SANCTUARYの撮影があるようですね。そのために帰国なさったのでしょうし」



スーツケースを見つめ把握できる現状を口にして確認。


理解していると示しての言葉を弾いて彼女に視線を移せば、




「・・・・・・・茜に会いに来た、」




再度告げられた存在理由。


それにどんな意図があってどう返答すべきなのか困惑し不動になる。


会いに来たのは分かる。


でも・・・仕事の繋がりでなくて?


何を言わんとしたいのかが全く理解不能。


ただ無表情の薄紅がその感情のまま動いている様な人形の様で。


一瞬・・・、


そう一瞬、







会わせたくない。








そんな感情を抱いてしまった事を必死で掻き消した。


直後、


「・・・・・茜のところしか逃げ場がなくて」


「・・・・・はっ?」


「・・・実家は父さんの目が怖いし、翠も煩いし、碧は夜兎ちゃんと鬱陶しいし、詩音君は海外に出張してるし・・・・」



そんな理由をようやく口にした彼女が小さく息を吐いて。


明確になった理由に唖然としつつ脱力。


そんな理由・・・ですか。


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