夫婦ですが何か?Ⅱ
いや、それも考えれば当然なのだ。
でなければ彼女がこのマンションの所在を知って玄関先で座ってはいなかっただろうし。
古い付き合いであるなら訪問も頷ける。
それに・・・・家族に次いで頼る存在らしいし・・・彼は。
驚く事じゃない。と自分に言い聞かせ、過剰反応なこの数分の自分にそろそろ本気で苛立ってきそうだ。
そんな感情を振りきるように再度視線を自宅の方に向けて歩きだし、不便である手で何とかポケットから鍵を取り出すと部屋の扉の開錠。
手首の袋をガサガサさせながら心なしかいつもより雑に扉を開けたタイミングに。
「あ、あの・・・千麻」
「何っ?」
「っ・・・・い、いや・・・その・・・それ、俺の荷物・・・」
思わず呼びかけてきた声にいつもより荒い反応を返してしまうと、見事怯んだ拓篤がビクッと反応してから遠慮がちに私の手首の荷物を指さした。
ああ、ごめん。
完全な八つ当たりだ。
まったく関係のない拓篤に当たってしまったような状況にも深く溜め息をついてしまうと、彼なりに現状や私の変化に気を遣ってそっと覗き込むように私を見下ろす。
「ち、千麻?」
「・・・・・暇でしょう?拓篤」
「えっ!?ぼ、僕?いや・・これから色々と・・・」
「人形遊びなら夜でも出来るでしょ?お日様サンサンなまだ昼下がり・・・健康的に人間相手に過ごしたらどうかしら?」
「千麻・・・素直に誘えばいいのに・・・」
「っ・・・ごめん・・・私の心中汲んで・・・」
「うん、何となく汲んでる」
困ったように笑ってチラリ背後の美麗な存在を意識した拓篤。
私がどこか平常でない理由が彼女にあると薄々感じていたのだろう。
だからこそ私の強引な誘いに抵抗示さず、結果何とも言えない3人の空気を室内に持ち込んだ。
室内に入ってしまえば体だけを言えば解放。
荷物を下し、翠姫を下しした体は恐ろしく軽い。
そうして酷使していた手首を振りながら開放感に浸って一言。
「修行の重りを外した感覚・・・」
「それっ!!今なら手から何か発射できそうだよね!!」
「目にも留まらないスピードで動くとかね」
「敵を瞬殺・・・・素晴らしい」
私の一言に見事恍惚と反応して盛り上がる拓篤に悪乗りな返答。
だいぶ順応してきた彼に対しての切り返しに楽しんで口の端をあげると。