夫婦ですが何か?Ⅱ
「え、えと・・・こ、紅?さん・・は・・・、茜君とお友達なんですか?」
拓篤・・・。
そこ・・・切りこむ?
この場面で・・・。
マジか!?と視線で言葉を発した彼を見上げると、ようやく自分のミスに気がついたらしく『あっ』と焦った苦笑いを私に落として。
それでもどこか私も気にはなっていた核心。
どんな返答が来るのかと意を決してその姿を振り返れば、カウンターに身を預けグラスを口に当てた姿は思案するように天井を見つめている。
何?
考え込むような関係なの?
途中眉根を軽く寄せた彼女がゆっくりとその唇を動かし視線を私達の向けてきて。
「・・・・・・幼馴染?」
「あ・・お、幼馴染・・なんだ・・・」
「・・・・愛玩動物的な・・・」
「・・あ、愛玩?」
「・・・・・見てると撫でくり回したくなるような・・・」
「か、可愛い弟的なイメージかな?」
「・・・・・・・元カノ」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・では、ないから」
彼女の発するどこか違和感のある返答の言葉に、問いを投げてしまった拓篤が必死にフォロー入れながら切り返して。
それに興味がないようにキッチンに戻り、自分の飲み物を用意しながらしっかり聞き入れ。
そして不意に嫌な感じに響いた答えに緊張が張り詰めその場がシンと静まって。
自分の動悸が聞こえてしまうんじゃないかと危惧したと同時。
追って否定を響かされて緩々とその緊張の糸が緩んでたるんだ。
この場でただ一人何も感じず淡々としている彼女だけがごくりとグラスの中身を煽って、そして懐かしむようにその視線を部屋に走らせ感傷に浸った。
つくづく・・・・嫌な女だ。
私が・・・。
そんな目で見ないでほしいとどこかで小さく思ったのに気がついたから。
勝手知ったる冷蔵庫の中身や、過去のこの部屋の様子を知っている。
更に言えば過去の彼も。
幼馴染。
そう語られた関係。
恋愛関係の響きじゃないのにこんな風に胸がざわめくのはやはり嫉妬。
この人は・・・。
私の知らない過去の彼を知っている人。
それも上辺だけでなく、本当の素の彼の。
ああ、だから・・・・焦燥感働くんだ。
自信が持てない。
この人よりも自分の方が彼を知っていると、自信を持ってこの場に居れないから私はこうして焦っているのか。