夫婦ですが何か?Ⅱ
「っーーー紅ちゃん!!」
「ん?・・・・なぁに?」
「『何?』じゃなくて!!キスッ、キスッ!?」
「ん?・・・・もう一回?」
「ちっがぁう!!こ、ここ日本!!かいっ・・海外じゃあ・・・」
「だって・・・・・・さっき、こんな出迎えがいいって・・・」
「そ、それは奥さん限定です!!」
歓喜も解消。
今はただひたすら窮地に追いやられた焦りで必死になって彼女のした行為に非難を飛ばす彼が、時々意識してこちらを見ているのは気がついている。
いつもなら嫌味な言葉の一つも飛ばそう。
でも、それを現状しないのは・・・出来ないに近い。
頭が色々と昼間から限界なのだ。
空回りばかりで思考が追い付かない。
ただその場で片手で頭を支えて無言で不動になっていれば、その姿が逆に異様に恐ろしいらしい彼。
「ち、千麻ちゃぁん!?ちょっ・・、本当に、紅ちゃんの悪戯だから!!挨拶だから!!深い意味ないからぁ!!」
「・・・・はぁ・・・そう・・・」
「ちょっちょっ・・恐いってぇぇぇ!!まだ詰られる方が言い訳しやすいよぉ!!」
言い訳って・・・・、結局は言い訳するような関係って事では?
ようやく思考回路がまともになってきた頭でそんな切り返しが浮上して。
慌てふためく彼に静かに視線を動かし無表情で見つめてしまう。
ダーリン・・・、その赤面は照れなの?焦りなの?
捉えた彼の顔の変化にそんな突っ込みが浮かんだけれど、先にその部分に突っ込んだのは私ではなく未だに彼の服を掴んでいる彼女。
「茜・・・・・・顔赤い・・・久々で・・・・・照れた?」
「ちがっ・・・っていうかぁ・・久々とか言っちゃうん・・です・・か・・・この場面で、流れで・・・」
「何?・・・声小さい。もう・・・・本当、押しに弱いんだから・・・・・真っ赤になって・・・初めての時もーー」
いや、ダーリン?
焦って彼女の口を押さえたところでもう殆ど聞き取ったところでしたけど。
この部分だけは阻止。
そんな勢いで彼女の口を覆った彼が恐る恐るこちらに視線を向けて力なく微笑む。
その笑みにどうしろと?
嘘でも微笑み返してほしいならそういたしますが?