夫婦ですが何か?Ⅱ




ようやく【らしく】無表情に腕を組んで、下手な笑いを浮かべている彼を見つめて。


その視線に決して好感ではない物を感じ取っている彼が負けた犬のようにチラリと視線を逃していく。


そんな中で天然様なのか彼女がこの空気を気にすることなく彼の手を口元から外すと追い打ちの様な要求を響かせる。



「数日泊まっていいよね?」


「・・っ・・・えっ!?」


「そのつもりで来たし・・・・、今までもよくそうしてたでしょ?」


「ちょっ・・と・・・その、前とは・・・俺の身辺もだいぶ変わったというか・・・」



その身辺の含みとして焦っているグリーンアイがチラッとこちらを捉えたのを見逃さない。


そんな視線に淡々とした無表情で成行きを眺めていたけれど。


前からの要求、背後からの威圧。


それに『堪え切れない』と言うように苦悶の表情を浮かべた彼が直後にパッとその身を返して足早に私の方へ向かって歩いて。



「か、家族会議!」



流れるまま私の腕を掴むとそのまま廊下に向かって歩みを進める。


家族会議っていうか・・・・言い訳でしょう?


軽く鼻で笑って引かれるまま廊下に出て、更に会議を聞かれんとする為にか動きを止めたのは薄暗い寝室。


パタリと扉が閉まった音が響いた直後にくるりと私に対面した彼が気まずそうな表情で私を見つめて。


私と言えば昼間からの疑問が解かれ混乱と言う意味ではだいぶ冷静になっている。


まぁ、怒っていないわけじゃないですが。



「えっと・・・・その、」


「何ですか?」


「いや・・あの、」


「・・・・会議の議題をお忘れならリビングに戻りますが?予定外とはいえ来客中ですのでそれなりにおもてなしの心をお見せしなければいけないと重々承知しておりますので。妻として」


「っ・・はい、すみません。ごめんなさい、不意打ちとは言え【奥さん】な千麻ちゃんの前でキスしてしまいました」


「念願の『おかえりダーリン・・・チュッ』が成されて良かったですね」


「違うのっ!それを求めてるのは千麻ちゃんにだけなんだって!!」


「そうなんですか?まるで恋人の再会の抱擁とばかりに知人友人の域を超えて抱き合っていたので。

もしかしたら主役はあなたと紅さんの方なのかと、」


「ないっ!!ってか、よく考えよう!?俺たちの現状までのかなりなドラマチック的成行きを!!主役って俺と千麻ちゃんしかあり得ないから!!」



なんかだんだん議題が逸れていっている気がする。

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