夫婦ですが何か?Ⅱ
この際どっちが主役な印象かなんてどうでもいいのだ。
実際のドラマの撮影じゃあるまいし。
おかしな会話の流れになり始めたそれに溜め息で終止符を打つと、どうやら一人で【ドラマチック的成行き】を回想していたらしい彼が不意に思い当った記憶を声にした。
「ほらっ!・・・千麻ちゃんだって、」
「何ですか?」
「俺の前で恭司とキスしたじゃん!しかも見てないところでも!」
「・・・だから?」
「えっ・・・」
「だから何ですか?同じなんだから見逃せとでも?」
「えっ・・え~・・・」
「その直後にそれを相殺するような時間を設けたと私の脳には記憶されてますが」
「あっ、うん。・・・・・・・・・うん、」
「・・・・・・何思いだして赤くなってるんですか?気持ち悪いですよ」
「いや・・・あの夜の衝撃というか・・・・、未だに思いだすと・・・・エロイな。・・って、」
「・・・・・・・・・・・すみませんが【家族会議】の議題にお戻りください」
何か一言口にすれば簡単に脱線して議題から逸れていく。
それを学んで自分の念頭に置いてから再度の軌道修正を計って彼を見上げると、彼も一息ついて感情生理。
そしてスッと揺れが治まったグリーンアイで静かに私を見下ろし一言。
「・・・・・俺の・・・初めての人です」
「・・・・・・はい、・・それは何となく理解しました」
チラリと壁の向こうの彼女を捉えるように視線を流してすぐに戻した彼。
その内容はさっきの騒ぎの中で充分に理解したもので、そう考えれば彼女がいやに彼に対して勝手知ったるな感じだったのも頷ける。
「SANCTUARYのモデル様が初体験なんて・・・・贅沢ですね」
「そ・・それは嫌味?」
「・・・・違います。・・・と、言ったら嘘になりそうなので1/3は。と肯定しておきます」
「フッ・・・うん、でも・・・前も言ったけどつきあってたわけじゃなくて。・・・・俺にとっては幼馴染というよりもお姉ちゃんって感じだったんだよね・・・」
「何故・・・【お姉ちゃん】と近親相姦を?」
「千麻ちゃん・・・・言い方・・・」
「あなたが【お姉ちゃん】と称したからでしょう」
分かっている。
自分が発する言葉が必ず嫌味が混じった刺々しいものだという事は。