夫婦ですが何か?Ⅱ




その言葉を耳にするたびに困ったように眉尻下げて、それでも私のご機嫌を優先して微笑む姿に申し訳ないとも感じてはいるのだ。


今もそんな風に力なく笑って私の言葉を流した彼が、問われた理由を回想してなのか、微妙な表情で後ろ頭を掻き返答の声を零し始める。



「何で・・・か。・・・理由をつければ・・・紅ちゃんの気まぐれ?」


「・・・・はっ?」


「多分・・・その時なんとなーく彼女が発情してて、その場面に丁度遊びに来てた俺がいて、『あっ、丁度いい』的な感じで俺の初めては終了したかと・・・・」


「・・・・・つまり・・・・【お姉ちゃん】に悪戯的にペロッと食べられたと、」


「なんか・・・言い方が・・・、でも・・まぁ、そうです。俺もそれなりに思春期で、彼女は作ってなかったけど性的な事には興味津々な年頃だったし・・・・」


「・・・・そんな一番興味津々マックスな時に『綺麗なお姉さんは好きですか?』的なお誘いを受け、・・・ハマったと・・・」


「それは・・・もう・・・なし崩しに・・・・会う度に?」


「・・・・・・あなたがまともな恋愛感覚を構築できなかった理由の原点を知った気がします」



初めてからそんな感情後付けの関係を始めていたら、確かに恋愛が面倒だと感じるかもしれない。


グダグダとした揉め事や深い感情なしに簡単に快楽を共有できる存在が近くにいて。


そしてその相手に愛着も愛情もある。


だから後ろめたい事もなくて、懐く感覚の延長とばかりに彼女との関係を深めたのだろう。


割り切った関係。


楽しく、気持ち良い事の共有。


面倒な感情皆無で甘えてじゃれて依存して。


あっ・・・なんか・・・・。


さっきも感じた感覚。


凄く凄く胸がざわめいて落ち着かない。



「千麻・・・ちゃん?」



ああ、なんか・・・嫌だ。


でも・・・そんな風に感じて・・・。



「ね、・・ねぇ?・・大丈夫?」


「・・っ・・・・」



さっきの彼がした彼女への抱擁の仕方、表情が嫌って程類似する。


普段に私に見せる彼に。


違う・・・もしかしたら・・・逆なのかもしれない。


本来彼女に向けていた物を私に切り替えたに過ぎない・・・後者なのは私の方だと・・・。


また・・・、


知らない間に・・・・根本から・・・・、


代理にしか過ぎない自分だったなんて事は嫌ですよ?



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