夫婦ですが何か?Ⅱ
重なった唇の狭間でお互いに舌を絡めて呼吸を貪って。
欲情しそうだと言っていた彼の指先がそれを示して服の中に滑り込む。
背中を這うように上がって、微々たる胸を支えている圧迫感を解放すると静かに前に移って。
器用に動く指先が膨らみを確かめるように柔らかく感触を楽しんで。
何をしているのか。
リビングに客人を残して。
不意に浮上した理性的な自分が現状に嘲笑を漏らして唇を離した。
その笑いに疑問を向けるように至近距離から覗き込んでくる彼の扇情的な眼差し。
今すぐにでも、
そんな風に欲に走りそうな彼を、仕掛けたのは私なのに彼の唇に手を添え抑制。
「・・・・・・おかえり・・・ダーリン?・・・そんなキスです。急拵えでしたが・・・」
「急拵えで・・・こんな濃密?毎日こんな出迎え受けてたら・・・翠姫に可愛い兄弟姉妹が何人増えるか分かんない・・・」
「・・・・馬鹿ですね」
「フフフ・・・」
「・・・・・・気持ち悪っ・・・」
「だって・・・・、千麻ちゃんのアツアツなヤキモチ?可愛くて嬉しくて・・・・」
「・・・・私のヤキモチ舐めたら恐いですよ?焼きたてで激熱なところに唐辛子山盛りでお出ししましょうか?」
「・・・・・聞いただけで発汗作用ありそうだね・・・・」
「体感したくないならそれなりにご注意を、」
羽目を外しすぎるな。と、暗に忠告の言葉を向けてみれば、今まで【ヤキモチ】だと馬鹿みたいに浮れた笑みに焦りを感じる。
そんな彼を一瞥し、さすがに戻らねばとその身を動かし扉を開ける。
だけども自分の身を出すわけでなく、それこそ彼に日々していたような流れで扉を開いたまま誘導。
「お先にどうぞ、・・・ダーリン、」
「・・・はい、」
苦笑いで渋々その誘導に従い身を出す彼が、流れるままリビングの扉を開けるとパッと表情和やかに中央に移動。
その姿を見つめながら自分はキッチンに舞い戻って流れを見つめて。
「えっと・・・、客間・・・使っていいよ、紅ちゃん、」
「なんだ・・・同じベッドでもよかったのに」
「っ・・・紅ちゃん・・・俺ね、一応妻帯者・・・、すでに顔見知りだと思うけどあそこにいるのが愛妻の千麻ちゃんね」
「茜の・・・・秘書さんだった人でしょ?」
「今はその職務から外れて・・・【一応】彼の妻業に専念してます」
「っ・・・・」
宿泊の可を告げれば、それも今までの様な感覚の悪意無き一言なんだろう。
深い意味なしにしても彼と同じベッドで良かったという彼女に焦った感じに私をチラチラと見ながらの彼の言葉。
でも引っかかった【一応】を引用して【妻】をアピールすれば、彼の愉快な泣き笑いの表情。