夫婦ですが何か?Ⅱ
丁度、翠姫が彼女の張り付いて顔に触れている場面で、そんな翠姫を愛おし気に抱きしめ彼と顔を見比べて笑う姿。
「・・・小さいころの茜に似てる・・・」
「そう?・・・結構翠姫って半々な顔だと思うんだけどなぁ」
「美点なグリーンアイが遺伝してて嬉しい。・・・本当、我が家の人工的な色の目を違って綺麗・・・」
「このグリーンアイはウチの家系の自慢だし」
ニッと笑って言葉のままに自慢げに自分の目を指さした彼。
無邪気な子供の自慢。
そんな印象だった笑みが次の瞬間には緩々と解かれていく。
そっと彼の目の横に振れた紅さんの指先の効力で。
「・・・・・・・・茜のグリーンアイに見下ろされるの・・・好きだったなぁ・・・」
無表情。
でも、懐かしむように弾かれた言葉に、飲まれたように無言で彼女を見つめる彼を捉えて現実を響かせる。
「・・・・茜、」
「っ・・・はいっ、」
反射的。
瞬発的にこちらに体を捻った彼にこちらも無表情で見つめ、無言でビール缶を持ち上げる。
持っていけ!の意で。
それを察して作り笑いで立ち上がった彼がどこか緊張した感じにこちらに歩み寄って。
その間にグラスを3つ用意しキッチンに並べる。
「えっと・・・千麻ちゃんも・・・こっち来たら?」
「お気になさらず。・・・お酒のつまみも必要でしょうし、」
「・・・・・あの・・・怒って・・る?」
「・・・・何に対してそう思われるのですか?残念ながらこの無表情は生まれつきで習慣ですが?不満であれば心無い笑みを浮かべて立っていましょうか?」
「・・・いや、うん・・・わかった。・・・不機嫌なのが、」
私からビールを受け取りながら、一応とばかりに同席を促した彼に理由をつけて拒絶して。
懸念含みに問われた内容に、返答に見合わない不愉快をたっぷり乗せて返せば困ったように複雑な笑みを浮かべた彼の落胆。
そんな姿に同情するわけでもなくグラスの乗ったトレーも差し出すと、受け取った彼が渋々その場を離れて戻る。
そうして、なんとなく会話していた拓篤と紅さんの輪に彼が戻ったのを見届けると、直後の事態を予想しながら冷蔵庫に体を向けた。