夫婦ですが何か?Ⅱ



「っ・・うわっ・・・」


「う・・わぁ・・・茜君・・・大丈夫?」



捉えてはいない、耳に入りこんできた会話に静かにほくそ笑んで、リビングの騒ぎを確認するでもなく冷凍庫を開けていれば人の近づく気配。


スッとキッチンの入り口から入りこんで来た姿がしゃがんでいる私を見下ろして立つことも予測済みで。


実現したそれに冷凍庫を開ける為しゃがんだ姿のまま見上げれば、さすがに不愉快示す笑みで私を見下ろす彼の姿。



「・・・・どうしました?」


「嘘つき・・・・確信犯でしょ?」


「何の事でしょうか?ああそれと・・お気づきですか?そのパンツ広範囲で濡れておりますが、」


「知ってるよ!開けた瞬間にビール噴いたんだよ!?」


「それは・・・災難でしたね」


「誰かがかなり執拗にシェイクしたとしか考えられないんだけど?」


「・・・・お祓いでもしましょうか?盛り塩とか」


「ねぇ、この部屋に何年も住んでるけどそんな怨念とか幽霊じみた事態なった事ないから」


「まぁ、女とは気まぐれですから・・・怨念の効果もそれに倣え的に効果を発するのか・・と、」


「・・・・・はぁ、・・・着替えてくる」



多分、まだ健在の不満を飲みこんで溜め息に流した彼。


今は言っても自分に軍配が上がらないと感じての引きなのか。


もどかしい表情でその場から去った姿が寝室に向かう足音を聞きながら、冷凍庫から必要なものを取りだして立ち上がる。


そして一息。


私・・・・何してるんだか。


微々たる嫌がらせで、彼が疑ったようにビールで仕返しして子供の様だ。


自分でもそのレベルの低さは分かっているのに感情的に行動して。


だって、彼女に悪意がない分あからさまに敵意を出した態度は出来なくて、そのもどかしさの葛藤の的として彼がもれなく選ばれてしまう。


今も軽く不愉快そうに着替えを終えて横を歩きぬけていった姿。


さすがの彼も私の不愉快を受けるのに疲れたというところだろうか。


私に声をかけることなく輪に戻った姿は紅さんの声かけには表情を和ませて。


そんな彼に目を細めながら自分のビールをごくりと煽って酒のつまみの作製。


時々沸くリビングの盛り上がりに心で舌打ちをして小さく溜め息。


良妻、良妻・・・。


もうどれほどその効果があるかは分からないけれど。



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