夫婦ですが何か?Ⅱ



そうしてこちらが必死になっている事などお構いなしのリビングは盛り上がりを増していて。



「茜・・・、上の服も少し濡れてるよ・・・」


「ん?ああ、いいよ・・・少しだけだし、お風呂の時にでも着替えるから、」


「お風呂・・・・一緒に入る?久しぶりに、」


「っ・・・・いや、入るわけないじゃん」


「何で?私に頭洗われるの好きだって言ってたのに、」


「いや、そういう問題じゃなくて・・・って、拓篤さん、想像して赤くなって黙らないで!」


「あ・・いや、うん・・・な、仲良しな幼馴染だったんだよ・・ね」


「じゃあ・・・たっくん一緒に入る?」


「え、ええっ!?」


「私・・・・得意なの。・・・・洗髪」




「お待たせいたしました」



無言で聞こえてきていた会話を聞き入れて、チラリチラリと確認していた場面を語れば。


相変わらず何も考えていない、思いついたままに物を口にしているらしい紅さんの変化球。


それを受けた彼がそのたびに焦りながら必死でキャッチして投げ返しているような会話に、どうやら動揺を見せた拓篤が強制的にキャッチボールに参加させられデッドボール。


まさかのお誘いに混乱して両手を左右に振っている拓篤に、的外れにも両手を広げてそれの得意を語る紅さん。


完全に彼女に翻弄されている空気をぶち破って声を響かせた私。


・・・と、いうのが今この瞬間だ。


微笑みながら出来上がった酒のつまみ的な物を中央に注目集めるように置いて。


見事その視線を向けた彼と拓篤が似たような苦笑い。



「えっと・・・これ・・・」


「も・・・餅?」


「・・・揚げ餅にバジルと粉チーズまぶしましたが・・・【焼いた】物の方がよかったでしょうか?」


「・・・・・・あ、美味しい・・・」




充分に意味を理解しての苦笑いを浮かべた男2人に対して、何も理解していないらしい紅さんが先陣切ってそれを口に運んで感嘆の声を上げている。


その声には『ありがとうございます』と微笑んで返して、未だに微妙な笑みで固まっている男2人にはフンッと鼻を鳴らしてその身をキッチンに戻していった。


うっかり拓篤に対してもその意を向けて。


ヤキモチならぬ揚げ餅。


警告よダーリン。


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