夫婦ですが何か?Ⅱ
「・・・おはようございます」
多分感情切り離した平常の挨拶を返したと思う。
色々と思うところあれどあからさまに疑うつもりもなく、自然な流れとして視線を新聞に戻していった。
でも頭にあるのは昨日の疑惑で、理由の成り立たない彼の行動。
いや、もしかしたら私の早とちりであるかもしれないのだ。
疑ってみても彼にそれが伝わるでもなく、耳に響くのは玄関の開錠音。
すぐに横目に扉が開かれるのを確認し、そのまま今朝の接触は静かに終幕だと思った。
「・・・・残念」
ぽつりと響いた声は大きくはない。
なのにしっかりと耳に入ったのはその空間が私と彼の無言で静寂だったからだ。
空気に触れた音が見事耳に入りこんで、言葉の音や響きに驚きと疑問を感じて再度彼を振り返れば。
あっ・・・2度目。
咄嗟にそう思った彼の笑み。
もう体の半分は扉の向こうに隠れていたのに、残された半身で私を捉えてクスリと笑い。
「余計な忠告しなければよかった」
ピッと人差し指が私の下半身を指さすとその姿はスッと消えた。
なんてことなく自室に身を投じただけの話。
静かに扉が閉まり誰もいなくなった空間を呆然と見つめてから自分の足元に視線を落とし、納得するように頷くと身を返して自室に入った。
パタリと閉まり薄暗くなった玄関で扉に寄り頭を掻く。
何ともすっきりしない感覚に眉根を寄せたタイミングに寝室の扉か静かに開いた。
「おお、今日は応用効いての部屋着スタイルでよかったよ」
「・・・・あなたも、・・・一日で裸族に飽きてくださって良かったです」
フッと顔を見た瞬間に懸念した事を視線走らせ確認し、しっかりとまともに衣服の着衣を捉えると緑に視線を戻していった。
まだ眠気孕む眼差しがフッと笑ってくるのに対し、真顔でその横を抜けるとキッチンに向かう。
「千麻ちゃん?どうかしたぁ?」
「・・・・考え事するにも自由がないのでしょうか?この家は、」
「ん~、朝からトゲトゲ切り替えしだね。何かあった?」
「・・・・私の脳裏の悩み事すべてあなたに語る必要はないと思われますが」
「つまり悩んでる・・と、」
「悔しかったら透視でもどうぞ」
「出来たらとっくにしてるなぁ。その服の下までしっかりと、」
「・・・・」
「・・・・・っとに・・・千麻ちゃん!」
思わず切り返しもそこそこに昨日から続く疑惑とあの姿に意識が集中していれば、軽く張った声で呼ばれてようやく意識を彼に移した。