夫婦ですが何か?Ⅱ




ああ、不機嫌。


そしてその理由は問わずとも分かって。


まぁ・・・問う気もないですが。


もう見飽きるほど似たような状況を経験済みで、怯むでもなく一息つくと近づいて。



「よく【救心】なんてボキャブラリー出てきましたね」



えらく古い、むしろ私の年代でも懐かしいと感じるそれに突っ込んで、でもそれ以外は興味がないとクリップでまとめていた髪を下しながら彼の横をすり抜けて。


すり抜けられるとは思って無かったけど。


その予想通りに捕まった腕に、彼の力で振り向かされることも癪で、自分の意思でくるりと対峙すると見つめ上げる。


当然のように腕を組んでの戦闘態勢に、目を細めた彼が負けじと威圧的に見下ろして。



「浮気者・・・」


「その言葉言っていて胸が痛くはなりませんか?」


「全然。あれは予想外の事故にすぎないし」


「では、その都合のいいセリフが今の私の返答としておきます」



話は終わりだ。と掴まれている腕に視線走らせ『離せ』の意思表示。


離されるとも思って無いんですけどね。




「すみませんが・・・、精神的疲労により迅速に入浴を済ませ就寝したいと思っているのですが?」


「俺も入る」


「お断りいたします」


「意地でも入るし、」


「・・・・・・どうぞお好きに、」



勝手にしろ。と手で風呂場を指さし示して誘導し。


まだ不愉快な表情を浮かべている彼が、許可を得たと示されたままにその身を浴室に向けて。


その後を無言でついて歩いて、彼がその空間に入りこんだのを捉えながら直後に素通りして寝室に向かう。



「って、おいっ!!お風呂って言ったじゃん!」



寝室の扉に手をかけたその時に慌てた感じでその身を出して声を響かせた彼。


その姿を冷静に振り返り見つめると返答。



「はい、あまりにもあなたが入浴を所望されておりましたので、お譲りしようかと」


「一緒に入ろうって言ってんじゃん!?」


「・・・・嫌です」


「そんな露骨に嫌悪丸出しに言う!?」


「・・・・・なんか・・・今のあなたと入浴したら、精神的に汚れてしまいそうで・・・」


「そこまで言う!?」


「正直・・・・今は口をきくのも嫌悪の対象です」



はっきりと決定打を口にすれば最初唖然とした彼がすぐに状況を理解して眉根を寄せて。


その勢いでまだ不満が零れるのかと思ったのに、予想外にも不満を飲みこみ風呂場に消えた姿。





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