夫婦ですが何か?Ⅱ
軽く雑に閉まった扉が不機嫌の象徴。
それを見届け聞き入れると深く息を吐いて脱力。
そのまま頭を抱えて何とも言えない葛藤に悶えること数秒。
こんなつもりではなかったのだ。
こんな・・・子供じみたヤキモチをあからさまに露わにして彼を追い詰めるような。
過去の事だと割り切っていた筈が、目前でその親しさを見せつけられたらどうも感情の方が先走って。
彼が言った通り・・・『私だって、』元彼である拓篤と親し気に行動を共にしていたくせに。
その事に彼は今の私のように醜悪な態度は見せなかったのに。
「・・・・最低・・・」
自分自身の余裕のなさに心底うんざりして溜め息をついて、それでも思いだした愛娘の姿を求めてリビングに戻る。
その姿はリビングに敷かれた簡易的な布団の上でしっかりと目蓋を下して愛くるしい寝顔を見せて。
この瞬間ばかりは継続しなかった負の感情が静かに消えた。
ゆるく口の端をあげるとその姿を抱き上げ、翠姫の額に頬を寄せ静かにその存在を確かめて。
私の娘。
私と彼の、
私が・・・・妻で・・・母。
それが現実で、傍から見たらくだらない自己暗示の様だけども、今の私には精神安定剤の暗示。
でも・・・なんかこの感じ・・・・似ていて嫌だ。
過去に・・・彼との関係に悩んでいた時の自己暗示の時間に。
「・・・・・・・馬鹿みたい、」
思わず自分に向けた言葉と嘲笑。
今は不安になる事なく、彼も私もお互いに愛情を向けて、夫婦として信頼して並んでいるのに。
だから・・・これはつまらない嫉妬。
だけど・・・過度の。
だって、あまりにも彼が・・・・・私にするような接し方で彼女に接するから・・・。
結局は彼が悪いのだと答えをこじつけるように結んでみて、浮上した苛立ちに眉根を寄せながら寝室に移動。
翠姫をベビーベッドに寝かせると雑に自分の服を脱ぎ捨て就寝スタイルに早着替え。
まぁ、・・・彼のパーカー一枚に切り替えただけなんだけど。
まだモヤモヤとした感情のままベッドにその身を放り込んで目を閉じる。
それでも苛立ちが睡魔を阻んでいるらしく、その身は疲れているのに眠くない。