夫婦ですが何か?Ⅱ
混乱に引き込んだのがこのグリーンアイなら、冷静さを回帰させたのも同じもの。
絡んで冷静になって、真面目な眼差しの彼の眼光を捉えれば自分のアホさ加減が痛い程身に染みてきて。
堪え切れない程の羞恥心が沸騰したお湯のように込み上げ、赤くなるであろう顔を覆うと彼の上から退く様にベッドに崩れ落ちて沈む。
そんな私に複雑な表情で髪の毛を掻き上げながら半身を軽く起こした彼が覗き込んで。
それが分かっているから余計に顔を見られないように俯せで枕に顔を埋めた。
「・・・・ちーー」
「分かってます。馬鹿です、アホです。愚かで痴女で申し訳ありません」
「・・・いや、俺別にそんな酷い感想抱いてないけど・・・」
「・・・・嘘、・・・絶対に呆れて面倒で厄介な女だと思ってます」
「俺の気持ち断定?」
「・・・・・っ・・・・グスッ・・」
「ええっ!?ちょっと・・・泣いてるの!?」
「・・・っ・・うっ・・私だったら・・・・嫌いになります・・・」
と、言うよりすでに嫌気がさしている。
呆れて、軽蔑して、見放したい。
どうして私は何か迷いを抱くと矛盾して、周りを巻き込んで迷走してしまうんだろう。
そしてその大幅の被害者はいつだって、優しく私に手を伸ばしてくれる彼なんだ。
過去の二の舞。
私だったら経験のある面倒事はごめんだ。
巻き込まれるより早くそれを立ち切った方がどれだけ楽か知っているから。
どうにも収集がつかず肥大していく自分の馬鹿げた嫉妬。
余裕である事を示すように彼女を受け入れたくせに、まったく余裕のない態度で彼を責めて追い詰めて。
結果、その背中が向けられれば焦って浅はかな引き止めをしようと暴走して。
恥ずかしい・・・。
「も・・・嫌・・・、自分が嫌い・・・・」
「・・・・ちーまちゃん・・・」
「こんな面倒な女嫌ですよね?嫌ですよ、・・・嫌ってくれていいですよ・・・」
「・・・本当に?・・・いいの?」
「っ・・・・・・・」
「嘘でも『きらーい』とか言っちゃっていいの?」
俯せのまま吐きだした自己嫌悪で被害妄想な言葉。
言われるより早く自分の口から零して防衛。
少しでも衝撃を和らげようと。
つまりは・・・・言われたくない癖に。
「っ・・・・・・で、」
「んー?」
俯せでその姿は捉えていないけれど分かる。
声のトーンで、・・・口調で。
きっと今彼は困った表情で、でもどこか楽し気に口の端を上げてこの声を発していると。
意地悪・・・。
「・・・っ・・グスッ・・・・・嫌わないで・・・・ほしい・・です」
「うん、大好きっ、」
鼻をすすってからようやくその一言を枕にこもらせた声で弾いてみせると。
その答えを知って待っていたかのように子供みたいな弾んだ声でストレートに言葉を返した彼。
追って絡み付いてきた腕に強制的に体を、顔を彼に向けさせられ、嬉々としたグリーンアイと対峙した。