夫婦ですが何か?Ⅱ




無邪気な顔。


もう年齢もそこそこな大人の癖に。


そう思うのに安堵もする。


変わらない、よく知っている彼である事に。


強引に対峙し絡んだ姿は対照的だと感じる。


彼は酷く楽し気で嬉し気で、対する私は未だその目を涙の膜で覆って時折鼻をすすりながら彼を見つめて。


きっと酷い顔をしている。らしくない。恥ずかしい。そんな感情がめまぐるしく頭を占めるのに、彼の決して強固ではない指先が両頬を包んで私の視線を固定する。


抗えば簡単に外れるであろう力なのにそれが出来ないのは決して物質的な力ではなく。


自分の物だと己惚れていたグリーンアイの力。



「久々にグダグダ暴走千麻ちゃんを体感したわ、」


「もう・・・醜態すぎて、穴があったら迷わず飛びこんで自害します」


「死ぬまでする!?」


「らしくなさ過ぎて・・・あり得ない程馬鹿げて、子供じみて・・・」


「うん・・・まぁ・・・、面白い程の矛盾と暴走の百面相というか・・激情というか・・・・・」


「っ・・死にたい・・・・」


「ダメです。・・許しません」



勿論、本気で行動するような一言でなく、その位羞恥心で悶えていると言いたかっただけ。


苦悶の表情でその言葉を吐きだせば、特別取り乱す様ではなかったけれど、少し真面目さ交えた声音でそれを認めんとする言葉を弾いた彼。


でもその口元は軽く弧を描いている。



「千麻ちゃんが嫌いでも・・・・・、俺はね、こんな千麻ちゃんも千麻ちゃんの一部として愛おしかったりするんですよ」


「・・・・・・厄介で面倒なのに?」


「まぁ・・・厄介で面倒で・・・たまに持て余すけど」


「ほら・・・面倒なんじゃないですか」


「でも、手のかかる子ほど可愛いっていうか・・・・、そう言う時の方が本心から感情丸出しにする千麻ちゃんだから、」


「・・・・・」


「滅多にない本心を知れる瞬間でもあって・・・、でも滅多にない予測不可能な台風みたいだから、対応に焦って判断ミスもあるけど・・・・嫌ったりしない。・・・見放したりしないよ?・・俺」



困ったような微笑み。


迷いながら選び抜いた言葉は引用が面白いけど本心からの言葉だと分かる。


絶対に見放さない。


そんな意思込めた眼差しは揺れることなく私を射抜いて、ザワザワと騒いで揺れていた心でさえ鎮静させてくる。



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