夫婦ですが何か?Ⅱ
鎮静。
冷静。
だからこそ・・・しっかりこの発言だけは撤回しなければ。
謝罪しなければ。
「・・っ・・グスッ・・・・失言でした」
「うん・・・」
「・・・・疑って無いです」
「うん、」
「すみません・・・でした・・・」
「うん・・・・それに、ダッチワイフとか思ってないからね?いつだって愛情たっぷりに抱きしめていたつもりなんだけどなぁ。・・・・・・それとも、足りなかった?」
クスリと笑いながらの意地悪な言葉と、続く欲求絡みの肌の密度。
軽く引きよせられ密着する面を増えたお互いの肌は暖かいを通り越して熱くも感じる。
でも相反するように頬を掠める彼の髪は湿っていて冷たいとも感じて。
相乗効果?
その微々たる冷たさによって余計に熱く感じて軽く逆上せそうな。
「・・・・・ねぇ、・・・俺、これでもね、前よりは千麻ちゃんの感情の起伏に対応出来るようになってると思うんだ」
「・・・・」
「千麻ちゃんがどうしても自分の中で一人会議しやすい性格だって事も。・・・で、答えの出ないそれに葛藤して空回って暴走して・・・・・、いや、まともな答えは出てるのにそれに反して感情が暴走して、・・が正解かな?」
「はい、・・・まさに・・です」
「フフッ・・やっぱり。・・・なら、・・・少しばかり軽減出来るような言葉を俺から向けるとしたら・・・
『・・・・もっと、俺の奥さんである事に誇りと自信を持ってください』・・・かな?」
「っ・・・」
なんて、・・・タイミング狡くも的確な引用。
狡い・・・、悔しい。
自分が彼に向けた言葉でにっこりと微笑んで私の頬をくすぐってくる。
2人して横向きに倒れ込んでのそれは、見下ろすも見下ろされるもない筈なのに。
言葉と状況からの位置では私が見下ろされ説き伏せられているような。
完敗だ。
感情乱して当たり散らした後の自分では勝ち目がない。
それでも、小さな悔しまぎれを口にすれば。
「・・・・・紅さん・・・綺麗です」
「うん、モデルだしね。でも千麻ちゃんも綺麗」
「・・・・・素直だし」
「素直すぎて直球すぎて反応に困るけど。俺は千麻ちゃんの捻た愛情表現が大好きよ」
「・・・・・優しいし・・・あなたに、」
「うん、うん・・・、わかった。
とにかくだ、・・・自分と自虐的に比較してしまうほど、紅ちゃんって存在に妬いてくれちゃってる可愛い千麻ちゃんなんだって事が分かった」
「っ・・・・嫌いです」
「えっ?『大好き』?」
もう・・・何を言っても無駄。
皮肉ですら彼には都合のいい変換が働いて。
でも、私の本心である変換でもある。