夫婦ですが何か?Ⅱ
悔しまぎれに視線を逸らしながら呟いた紅さんへの感想に、痛くも痒くもないと微笑みながら全てに切り返した彼。
それだけ彼の中でやましい感情を彼女に抱いていないのだと推測できる。
そして、それは彼女も、
「ねぇ・・・、変に取らないでね。一応・・・紅ちゃんの弁解もしておけば本当にど天然のなせる業だから・・・」
「・・・分かってます」
「アレは・・・本当に昔っからの感覚で物を口にしてるだけで、決して悪意あっての行動言動じゃなくて・・・」
「大丈夫です。・・・分かってます。分かってるから・・・・、醜悪な態度だった自分に嫌気がさしてたんですよ」
そう、分かってる。
これでもそういったことには感がいいのだ。
秘書時代の培ってきた感というのか、散々悪意に満ちた嫉妬の言葉や視線を向けられてきた私だ。
だから理解するのは・・・・彼女からはそんな悪意は感じない。
純粋に、今までと同じように弟に絡んでいる姉の様な。
でも複雑に嫉妬が働くのは本当の姉弟ではなく、血の繋がりない男女だという面。
実際男女の仲だったという過去の時間に。
「・・・・・分かってますけど・・・」
「ん?けど?」
「けど・・・・・」
「うん・・・何?」
「・・・・・っーーー」
「ん?」
「・・・・何でもないです」
「うわぁっ!?すっごい嫌っ、言いかけてやめんなこの野郎」
「っーーーやぁっ!?茜っ!!」
意を決してその微々たる願望を言葉にしようと口を開きかけて。
彼も別に嫌味な笑みもなく『何?』と疑問を顔に浮かべ、逆に嫌味不在の表情を見ていたらなんとなく言いづらくなって言葉の回収。
当然不完全燃焼で気持ち悪い感覚に陥った彼が、不満を眉根に寄せると有無を言わさず弱点攻め。
くすぐるように腰を滑った彼の指先に見事翻弄されて、非難の声を上げたと同時に素早く彼に見下ろされるような状態に早変わり。
あっ、意地が悪く扇情的なグリーンアイだ。
「・・・・言いかけてやめるのは・・・焦らしというより嫌がらせだよね?ハニー」
「・・・・紅さんがいますよ?」
「ん?ああ、大丈夫。紅ちゃんは一度寝たら爆弾落とされようが起きないから」
「それって死にますよね」
「なんか話逸らそうとしてるみたいだけど乗らないよ?」
知ってます。
だって、滅多にないご自身の優位な今ですものね。
そう簡単に見逃してくれるとは思ってはいませんが。