夫婦ですが何か?Ⅱ




明らかに不愉快を表示しての笑みに攻撃性が増しているのも感じて。


だけども下手な弁明をしたところで更に不愉快になるであろうことも予測して口を閉ざす。


どう動きを見せるのか。



「無駄撃ちも・・・『数撃ち当たる』かと思ってね。でも・・・どうやら他の奴に当てられちゃった?」


「いえ、大丈夫です。当てられては・・・」


「・・・・」


「掠めただけかと」


「ーーっ小さくもときめいてるんじゃんよ!!」



馬鹿正直に答えた自分は本当に今日は立て直せない。


答えた瞬間に嫉妬に呆れを交えた複雑な笑みを強めた彼が、もう弁明の余地はないと言わんばかりに首筋に甘・・くない噛みつき。



「っ・・痛っ・・痛いっ!!茜っ!!」



知らない。


関係ない。


そんな事をチラリ走ったグリーンアイが告げた気がする。


涙が滲むほどの刺激を与えられた後では、他の場所にその唇が密着するたびにビクリと反応する。


また噛まれるのではないかと。


それが彼の策でもある。


実際は脅すように軽く歯を立てはするけど、繰り返し与えられる刺激は最初の物と一緒。


そのたびに増えていく彼の嫉妬からの紅い印は気がつけば腹部まで降りて。


そんなところにつけても無意味だと言いたい。


どうせ見るのは・・・見せるであろう相手は刻んでいる彼自身のみであるのだというのに。


まだ・・・髪が冷たい。


腹部を掠める彼の髪にそんな事を思って、もう殆ど抗う気もなく彼の行為のままに流されてしまおうと思った。


けど・・・、




「っ・・・」


「・・・・・」




不意に気がついた現状に、従順に組み敷かれていた体を勢いよく起こして彼を押し返す。


当然驚愕の彼の表情と対峙して、その顔にさすがに申し訳ない気持ちで乾いた笑い声を響かせて。



「す・・・すみません、」


「・・・・」


「シャ、シャワー・・・浴びてきていいですか?」


「・・・・・・・・・・はぁっ!?」



口元を無意味に隠しながら視線まで逸らして、現状どうしても譲れない願望を口にすれば。


まったく予想外の返答であったらしい彼が困惑の声を見事私に響かせる。


いや、分かりますよ。


『はぁ?』ってなりますよね。


そんな初体験の女子じゃあるまいし・・・、今更だと分かっていますとも。



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